小樽散策 〜水天宮編〜

水天宮と外人坂 (地図
堺町通りを歩いていると山側が切り立った崖のような急斜面であるのに気がつくが、このほぼ山頂にあるのが水天宮だ。水天宮までいかなくても、ちょっと高台に登ってみるだけでも、小樽港が見渡せて気持ちいい。界隈にはかつての屋敷町としての名残も少しは残ってはいるが、廃墟同然の家屋があったりと寂しいことこの上ない。表の賑わいを一通り見終えたなら、斜陽な小樽も覗いてみる...そんな感覚で訪れてみたい。

堺町側から水天宮に登り、裏手の階段を降りた小樽聖公堂教会の通りが花園公園通り。この通りをずっと真直ぐに歩いていくと「小樽散策 小樽駅周辺編」で紹介した小樽公園通教会、おたるミルクプラントを経て小樽公園へとつながるルートとなる。

外人坂下から水天宮を見上げる 外人坂石段下の廃墟 外人坂からの小樽港の眺め
石壁に囲まれた狭い路地の先には両側に生い茂る木々の中を石段が天上に上っていく。「その先には何があるんだろう」と好奇心を掻き立てられる夏の日の外人坂。 外人坂の石段の手前には、広大な敷地にポツンと煉瓦造の小さな廃墟が残っている。外人坂とは坂上にドイツの貿易商が住んでいたことに由来するそうだが、ここもその御屋敷の一部だったのだろうか。 外人坂の石段には朽ち果てた家屋が並んでいて、目と鼻の先の堺町の賑わいが嘘のようだ。石段を少し登ると小樽中央埠頭に停泊する船舶が見てとれる。最近、石段中央にあった廃墟(写真左側の緑屋根の建物)が撤去されて整地された。こんな場所になにか建設するのだろうか?
水天宮の本殿 小樽聖公堂 (地図
外人坂を登り切ると水天宮の本殿が見えてくる。神社の創建は安政時代、飲料水と食料生産の神を奉っている神社で、現在の本殿は大正8年に建てられた。社務所は本殿横から階段をちょっと下ったところにある。 水天宮を挟んで外人坂の丁度、反対側にある小さくて可愛い建物が小樽聖公会。明治28年に手宮で伝道を開始したのが始まりだが、手宮の公堂が焼失したため、明治40年に現在の水天宮下に移転した。
旧寿原邱 (地図
旧寿原邱 寿原邱の中庭より 寿原邱庭園
小樽の雑穀商、高橋直治氏によって大正元年に建てられた邸宅。当時は明治末期に発生した小樽大火の影響で住居と店舗を別け、展望の良い場所に住居を構えることが流行したそうで、この邸宅もその一つである。後に高橋家から寿原家に名称が代わり、寿原家から小樽市に寄贈されたため、現在の名称で呼ばれている。冬季を除き一般公開されている。 寿原邱は土地の傾斜をうまく利用して、下に母屋、中段に洋室、上段に和室の3つの建物が別にあって、それぞれの建物を階段状の廊下が繋いでいた。中庭からは、一面を蔦の緑に被われた洋館が印象深く姿を見せている。 純日本風の庭園だが、こちらも傾斜地を利用して非常にうまく作られている。池には水が張られていないが、かつては鯉などがのんびりと泳いでいたに違いない。庭からはもちろん小樽の市街地が一望できる。

参考文献:歴史的建造物と町並み・小樽(小樽市教育委員会発行)、北の建物散歩(北海道新聞社発行)、小樽散歩案内2001〜02版(ウィルダネス発行)