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十勝岳連峰・大雪縦走期2日目 ~美瑛富士避難小屋から南沼キャンプ指定地~

朝、4時起床。天候不純。重い気持ちで朝食を取りつつ、オプタテシケ山までは行くことに決める。あきらめが悪いが、運良く晴れて縦走が続けられる可能性を信じて重い荷物を背負っていく。他の二人は美瑛岳と美瑛富士に、御年配はオプタテシケ山ということで各々出発する。私以外は小屋にデポして身軽な状態。小屋の外は相変わらずガスが掛かりドンヨリとした空気。朝露に濡れたハイマツを掻き分け、足取り重く進んでいく。すぐの岩場でナキウサギの観察などしながら、ゆっくりと登って行こうとするがナキウサギにも嫌われたよう殆ど姿を捉えられない。こんな視界の悪い中、重い荷物背負って何やってるんだろうと思った矢先、スーっと晴れ間が見え始める。奇跡到来。みるみるうちに美瑛富士と美瑛岳が顔をのぞかせる。「やったぁ」、ここまで遅かったペースが一気に早くなる。身体は縦走する気満々だ。こうなったらオプタテシケを8時30分には通過したい。同じペースで登っていた御年配を申し訳なく思いつつ一気に離して進んでいく。晴れたのは良いが今度は急速に気温が上昇。日差しはギンギン。ハイマツ漕ぎで濡れた服も一気に乾いてしまった。ベベツ岳を過ぎた岩場で着替えようとザックを降ろした時に、ジーっと物思いにふけっているようなナキウサギを発見。こういう瞬間があるから山はやめられない。ありがとうとお礼を言って当面の目標のオプタテシケ山を目指す。

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少し遅れたが8時15分にオプタテシケ到着。これから行く稜線を眺める。無数のピークを貫いて一本の道がトムラウシまで続いている。ここに立って眺めているだけで心が折れそうになる。昨晩、小屋で出会った人達に縦走することを話したら「オプタテから先は覚悟を決めないと行けないからね」と言っていたが本当にそうだ。自分の脚でこの距離が歩けるのか急に不安になるが信じて行くしかない。

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休憩の後、進み始めるといきなりの痩せ尾根、片側は崩落していて落ちたら間違いなく天国に行けそうだ。地図では標高差700mはあるものの、ジグを切りながらを降りていくため、それほどの困難は予測してなかったが、痩せ尾根を越えると巨岩帯が拡がっていて結構体力を消耗する。おまけに、途中で脚をすべらせて足首をひねってしまう。幸い、登山靴のサポートで普通に歩く分には問題ないがひねると痛い。猛暑で水も随分となくなってきた。昨日、水場で汲まなかったのが効いている。何とか700mの下りを降りきったあたりで、ほんのわずかに残った雪渓から水を取る。あと数日で涸れそうな状態なので本当にラッキーだった。煮沸している時間がないのでフィルターで濾して飲料水として確保。ここで、今朝、南沼を出発して来たという青年に出会う。お互いの走破時間を交換して、何とか16時ぐらいに南沼キャンプ指定地に着けそうな感触を得る。途中の三川台で泊まるのもいいだろうと。振り返ると降りてきたオプタテシケ山がドーンとそびえ立っている。オプタテシケ山がこんなに奇麗に見える場所はここしかないだろうなぁと感動してしばらく眺めていた。

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さてオプタテシケ山を降りた段階で、標高は1400mまで下がった。ここからは標高1500~1600m台の無数のピークを登ったり降りたりして進んでいく。最終的には標高1700mの三川台、そして1970mの南沼キャンプ指定地が目標だ。道はハイマツと熊笹のブッシュで時折、ダケカンバがクネクネと曲がって立っている。湿度は限りなく100%に近く、気温も29℃。不快指数はMAXに到達する。予測に反して水の減る速度が速い。もはや水を飲んでも汗が蒸発しないわけだから、意味はないはずだが喉の渇きが止まらない。照りつける日差しに体力も奪われていく。涼しい風でも吹いてくれれば、どうということはない標高差の緩い登りが続いていくが、休み休みのためペースは全然上がらない。これはまずい。約18kmの行程の内、まだ1/3ほどしか来ていないのにと気持ちがあせり始める。地図で残り距離を確認しながら目標到達時刻を計算しつつ進んでいく。このペースでは16時に三川台がギリギリかもしれない。

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コスマヌプリを越えると比較的勾配がゆるやかになり、少しペースが回復する。それでも30分動いて休憩を繰り替えさないと熱中症になりそうだ。幸いハイマツのブッシュが続いているため日陰を探すのは容易。もう半径6km圏内には誰一人いない。慎重にいかないと本当にヤバイ。トムラウシ山の南には巨大な積乱雲が発達し始めて時折落雷の音が聞こえる。ラジオは新得から鹿追・上士幌までの大雨洪水警報と落雷注意報を伝えている。あの雲がこっち来るとマズいなと思いながらも、照付ける太陽を恨めしく見上げながら少しは曇って欲しいと矛盾する考えを抱く。休憩を挟みつつもペースは良好で時速1.5~2km/hをキープしている。あれほど遠かった三川台の台地もすぐ近くに見えてきて、気がついたらツリガネ山を通り過ぎて最後の1580mピークに到達していた。この時点で三川台に15時、南沼16時も可能かもしれないと希望が出てくる。脚は疲労で重いが気分的には先が見えて晴れやかだ。1500mのコルに降りて最後の登りに取り掛かる。ハイマツのブッシュの中、ついに最後の水を飲み干してしまう。あとはポットのお湯が残っているだけ。渾身の力で三川台へと続く急坂を上がる。

三川台では、水が涸れているためか今日は誰もテントを張っていない。下には雪渓と沼地が拡がっていて、とても奇麗なのだが、すぐそこに水があるのに何で手に入らないんだろうという考えが先行する。三川台からは片側が切り立った崖なので、疲れた脚がもつれないよう気をつけて進んでいく。見覚えのあるトムラウシ山周辺の景色が見えてくると一緒に人の姿も確認した。キャンプ地から散策に降りてきたらしい。今日は朝から誰にも会っていないので、人が傍にいるって本当に安心する。一言二言会話をするが喉が乾いているせいか、声がかすれてうまく出せない。

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南沼キャンプ指定地には念願の水が大量にあった。雪渓も例年より随分と残っている。いっぱい使いたいのでテントは水場のすぐ横にした。早速、水を取りにいく。汁物中心に食事をしてようやく落ち着いた頃にはもう日が傾いている。体力もだいぶ回復して、テントの周囲で写真を撮ったり、お酒を飲んだりしつつ、広島から来たという隣のテントの人と話をする。中々に辛い一日だったけど、終わりよければすべて良しで、すべて帳消しになってしまった。一旦、眠ったあとは空を見上げる。一片の曇りもない星空。南の空には月、北の空には北斗七星とカシオペアが明日進むべき道を示していた。


美瑛富士避難小屋(5:50)→石垣山(6:45)→ベベツ岳(7:00)→オプタテシケ山(8:15)→双子池キャンプ指定地(9:55)→1668mピーク(11:00)→コスマヌプリ(11:25)→1558mピーク(12:20)→ツリガネ山付近1580m(13:35)→三川台(14:55)→南沼キャンプ指定地(16:30)

十勝岳連峰・大雪縦走期1日目 ~白金温泉涸沢林道から美瑛富士避難小屋~

夏休みを利用して、毎年、悪天候で中止を余儀なくされた3年越しの十勝岳連峰縦走にチャレンジ。本当は望岳台から十勝岳を越えて行きたかったが、前日の熱中症気味の仕事疲れが抜けなくて白金温泉涸沢林道の美瑛富士登山口からスタートする。林道ゲートを通って、一番奥の駐車場に着くと車は四台ほどで空いている。あこもここで四泊するので状態の良さそうな場所を選んで駐車。

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このコースは森の中を延々と進んだ後はトラバースが連続する味気ないコース。一緒に出発した御年配とゆっくりと登って行く。照りつけるような日差しに暑さを感じていたら、雨が降ってきた。山頂は雲が発達して雷がゴロゴロ言っている。文字どおり嫌な雲行きだ。とはいえ樹林帯では木が傘代わりになって殆ど濡れなかったが、やがて樹林帯が途切れ始めると雨具を着るしかない。ブッシュの中では湿度も100%近くゴアテックスも効果がない。不快指数が極めて高いので、雨の状態を見ながら雨具を脱いだり着たりを繰り返して登っていく。

十勝岳連峰は7月を過ぎると水の確保に苦労する山で、途中の水場で水を汲もうか迷うが、小屋の直下にも雪渓があったはずで、一昨年は同時期に水が取れたから上で汲もうということに決め進むとなんと涸れている。「しまったぁ」と思いつつも「3L近く残ってるので何とかなるだろう」と、あまり気にしなかったが、後程、水の確保に苦労することになる。

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美瑛富士避難小屋には先客が二人。彼らは同じ涸沢林道を早朝に出発、オプタテシケ山まで往復して今日は小屋で一泊のようだ。オプタテ山頂は霧で何も見えず、ベベツ岳あたりで落雷にあって恐い目にあったと話していた。小屋の外は相変わらずのガスの海。夕食を取った後、ラジオの気象情報に耳を傾ける。明日は高気圧の圏内だが、台風の湿った空気の影響で大気の状態が不安定だと伝えている。特に2000m級の山々が連なるような地域は雲が発達しやすいだけに「これは今年もダメかなぁ」と溜め息を一つついて、気分的には殆ど明日山を降りるつもりで就寝した。

白金温泉涸沢林道登山口(12:10)→天然庭園(14:10)→美瑛富士避難小屋(16:20)

高根ヶ原通信(2日目) ~台風一過の晴れ間を満喫~

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暑くて寝苦しい夜だったが気がつけば周りが明るい。ガバッと飛び起きて朝焼けの高根ヶ原を写真に収める。天気が悪ければ下山しようと思っていたが、今日も晴天に恵まれそうだ。朝食にした後、テントや寝袋など重い荷物は小屋に預けていざ高根ヶ原に。コガネイチゴ、チシマノキンバイソウなどが鮮やかに咲いている。トカチフウロはまだ少し早いようだ。礫地に出るとコマクサが一段と目立つ。そんな中、ケルンから顔をのぞかせているエゾシマリスにも出会う。身体が小さいので、まだ子供かもしれない。

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チシマギキョウやリシリリンドウなど表大雪でも珍しい花が見え始めると高根ヶ原に来たと実感する。三笠新道分岐を越えると熊の匂いが風に乗ってやってくる。匂いの感触から遠く離れているのはわかるが、念のため笛を吹いて「こっち来んな!」信号を発信しておく。今まで8月にしか歩いたことがなかった高根ヶ原は、花のない印象が強かったが、今回はエゾカンゾウ、チシマキンレイカ、タカネシオガマ、イワブクロ、エゾツヅジなどが群落を形成しているのを目にしたのは新たな発見であった。「ガーガー」という声がするほうを見ればホシガラスも上空を飛び交っている。今日は動物との遭遇が多そうだ。

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平ヶ岳を過ぎて忠別沼への登りで、年代物のザックを降ろして休憩している埼玉からの縦走者と出会う。彼も銀泉台に降りるそうで、層雲峡まで車に乗せてもらえないかとお願いされ、もちろん快諾。私は白雲小屋まで身軽なので、そのうち追い付くだろうということで、その場は別れて忠別沼に向かう。彼の話では忠別沼の花はあまり良くなかったということなので、今日の目的地を忠別沼を見下せる1833mピークに決め歩き出した矢先、何やら大きい物体と目があった。エゾシカじゃないか。標高1800mだというのに上がってきたらしい。高山植物も食べてしまうというので結構問題になっているのは知っていたが、こんな高地で見たのは初めてだ。

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忠別沼が見渡せる1833mの高台はチシマキンレイカの黄色一色。花と沼と忠別岳の景色を楽しみつつ、お茶にする。化雲岳の辺りは若干雲がかかっているが、本当にいい天気。熊除け代わりのラジオを聞きながらのんびりする。そうこうしているうちに、昨日一緒に白雲岳に登ったじいちゃんが追い付いてきた。今日はヒサゴ沼で一泊するようだ。うらやましい。ガスったら忠別小屋にすると言っていたが、多少のガスならヒサゴまでは道に迷うようなところはないから安心して行ってきたらいいと言って別れる。

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その後は来た道を戻る。白雲小屋からここまでざっくり片道7kmはあるので、帰りは結構つらい。容赦ない日差し。吹かない風。たかる蠅。たまに花の写真を撮るのにしゃがんで立っては立ち眩みをおぼえる。結構このルートはキツかったかなと思いつつ、それでも「来て良かった」が打ち勝つ。白雲岳避難小屋まで戻ると層雲峡まで一緒に行く約束をした埼玉の彼がいて「ここで追い付かれるとは」と言って驚いていたが、私は昼食の予定だったので、また彼が先行する。食事の後、小屋に預けていた荷物を詰めたザックを背負ったら重いこと。水も食糧も予備の一食分しかないのに、なんでこんなに重いんだ。出がけに管理人さんに、札幌からなら、また週末にでも来てくださいよと言われて体の良い返事を返しておく。週末の一泊山行で来る人が常連さんには少なくないらしいが、体力のない自分がうらめしい。

昼食後も昨日歩いた道を折り返していく。白雲岳分岐はすごい人、昨日よりも人数多いなぁと思っていたら、赤岳のほうも大勢の人であふれかえっていた。若い女の子も多い。華やかなのはいいが、さっきまで高根ヶ原の静寂の中にいたのが信じられないような喧騒だ。賑やかすぎる山というのも正直あまり好きではないので、降りる脚に力が入る。気が付いたら14:30には銀泉台に到着していた。埼玉の彼とも無事に合流し、あこに荷物を積み込んで、層雲峡を目指してダート道をゆっくりと下りていった。

白雲岳避難小屋(5:45)→三笠新道分岐(6:50)→忠別沼見晴台1833mピーク(8:20←休憩→9:00)→三笠新道分岐(10:15)→白雲岳避難小屋(11:15←昼食→11:50)→白雲分岐(12:10)→赤岳(12:40)→銀泉台(14:30ぐらい)


今回のあこの燃費:14.4km/L (ダートの山道が長かった割には良好。もうこのぐらいは普通になってきた。私がオーナーになってから定速の長距離走行ばかりなのでエンジンがいい具合に仕上がってきているのかも。)

高根ヶ原通信(1日目) ~台風一過の晴れ間を満喫~

今週は待ちに待った土日晴れマーク。白雲岳避難小屋に1泊して高根ヶ原を満喫しようと出掛けてきました。一泊荷物を背負うのは今年初めてということで、大雪でも比較的楽な銀泉台からスタートです。

道央道に鹿が侵入して通行止めになり、一般道を迂回して予定よりも30分以上遅れて登山口に到着すると、ものすごい車の数。駐車場に入りきらなくてとんでもないことになっている。可哀想にあこは砂利道路駐で一泊決定。「今日は登山会でもあるんですか」とゲートの管理人さんに聞いてみるが、何故こんなに人が多いのかよくわからないとのこと。天気がいいからかなぁなどど話をしつつ記帳をすませて入山。

登山道に入るとシオガマギク、エゾウメバチソウ、ゴゼンタチバナ、カラマツソウ、ミヤマキンポウゲ、アオノツガザクラ、エゾヒメクワガタ、ヨツバシオガマ、チングルマ等々、花三昧。第ニ花畑は大半が雪渓の下だが、雪のない所ではエゾコザクラが鮮やかに咲いている。この花がこんなに活き活きと咲いているのを見たのは初めてかもしれない。

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第ニ花畑の雪渓を抜けて、コマクサ平に着くとコマクサをはじめイワブクロ、エゾツヅジなど礫地の花が多くなってくる。ここから第三雪渓の間でシマリスを発見。茂みの中にはエゾノハクサンイチゲがひっそりと咲いている。第三雪渓の途中からは標高1900mに入り、息があがる。第三雪渓を抜けるとチシマキンレイカの黄色い花が目立つようになってくる。気の早いチングルマはすでに綿毛になっている。第四雪渓は夏道が出ているので安心して登っていけた。これを越えれば赤岳山頂。山頂についた頃には久々の大荷物が効いたのか腰が痛い。時間は13時。お腹も空いたので昼食にしつつ山頂の岩に登ってみる。この岩に登らなくては赤岳の良さはわからない。

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昼食の後はとりあえず白雲岳分岐まで行って見る。体力もかなり消耗しているらしく、小泉岳に上がる緩い勾配ですら結構キツい。分岐では愛知からの縦走者と出会う。旭岳からスタートしてトムラウシで折り返して天人峡に降りるらしい。せっかくなので、荷物をデポって一緒に白雲岳に登る。当たり前だが身体が驚くほど軽い。途中で道警の山岳警備隊と出会う。一人は大きな幟をザックに立てて歩いている。重くないのか聞いたら「今日は風がないから平気ですよ」とのこと。身体の作り込みが違うなぁと関心しつつ、よくよく考えたら山岳警備に会ったのは初めてのことで、大雪にも警備隊いるんだと変なところに感心してしまった。

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白雲岳が間近になると雪壁がドーンと迫って来る。別にここを登るわけではないが、スケールに圧倒される。山頂からはトムラウシ山はもとよりオプタテシケ山や美瑛岳までがきれいに見える。本当に今日は大当たりだ。景色を十分堪能してから本日の寝床、白雲岳避難小屋へ向かう。途中の雪渓横には初夏の花キバナシャクナゲも咲いていて、雪渓が色々な季節を演出しているのを実感する。遠くに見える小屋の横にはテントの花が咲いている。ざっと15張りぐらい。以外と多いなと思いつつ、このぐらいなら小屋にも入れるだろうと安心する。明日の天気が微妙なので、できることならテントは張りたくないし、そもそもテントは孤立しがちなのであまり好きではない。

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白雲小屋の2Fに陣取ると、水場で汲んできた水を明日の飲み水用に煮沸する。「もう夕飯ですか」と声がかかり、「いや、水作ってます」と...これをきっかけに山話が弾む。17時前に夕飯をすませると、消灯の20時までは外のテーブルで酒を飲んで過ごす。標高が2000m近くあるため、無風の屋外でも少しひんやりして焼酎のお湯割りがとても美味しい。管理人さんを交えて話しをしつつ、たまに写真を撮ったりして、あっという間に消灯時間。寝袋に包まるも予想外に暑くて寝苦しい。ふと気が付いたら窓の外が明るい。もう朝?と思って時計を見てみると23時。なぜと思って窓の外を見てみると、満点の星空。こうなったら写真を撮りたくてしかたがない。カメラ片手に外へでる。もう絶景で、高根が原からトムラウシまでの稜線がくっきりと見える。「こんなに明るいとライトなしでも歩けますねぇ」と一緒に起き出してきた人と話をしつつ白雲小屋での一夜は過ぎて行った。

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銀泉台(10:00)→コマクサ平(11:50)→赤岳(13:00←昼食→13:35)→白雲岳(14:45)→白雲岳避難小屋(15:35)

あことドライブ ~蝦夷梅雨の晴れ間を求めて浜頓別~

三連休の最終日に晴れ間を求めて道北の浜頓別まで行ってきました。朝5時に札幌を出発した時はドンヨリしていたのに、美深を過ぎたあたりから雲の間から晴れ間が覗き始め、音威子府に着く頃には殆ど快晴。今回の最終目的はベニヤ原生花園ですが、あちこち寄り道してみようと...あこも車検後ということもあって超御機嫌。

まず道の駅ピンネシリに寄って旧天北線の名残を写真におさめる。ここから敏音知岳に登れるらしいが今日は装備がないので...低い山ながら山頂に樹林がなくて視界が良さそうなので今度の楽しみに取っておく。続いて中頓別鍾乳洞。散策道ではキショウブ、ウツボグサ、コウリンタンポポ、ツリガネニンジンが咲いている。

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鍾乳洞の入口はガスが掛かっている。外は30度近いというのに中は15℃だったので無理もない。まさに天然のクーラー。あぁ、涼し・・・。しかしながらここの洞窟はとにかく狭い。歩けるルートは60m弱の短い洞窟だが、高低差が15mもあり、腰を屈めて進む箇所も多くて、奥まで辿りつくには以外に時間を要する。照明は点いているが、暗めなので、入口に用意されている懐中電灯を持って、照らしながら歩くと発見があって楽しいかも。私は一番奥の天井で貝の化石のようなものを発見した。後で調べたら、それもそのはず。このあたりの地層はホタテやフジツボなどの貝殻が大量に堆積して出来た地層らしい。

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洞窟探検の後、管理棟に置いてあるパンフレットを眺めていると町内の寿公園にSLが保存されていることが判明。浜頓別への道すがらなので行ってみる。ありましたよクンロクが。プレートには49648とある(9600形の449番機の意味)。天北線でも活躍した車両らしいが、近くで見ると、いや、しかし保存状態が...ひどいなこれ、外装が錆びてボイラーが剥き出しに。保存というよりは放置に近い? 朽ちてもなお感じる十分な存在感と、雨の当たらない内装がきれいに残っているのは救いを感じるが、無理矢理感のある下回り塗装にも往年の面影はないし...車両の屋外保存は本当に難しい。

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何だか少し寂しい気分になった後、国道275号を北上しベニヤ原生花園に到着。早速、管理棟でパンフレットをもらいつつ情報収集。90分の外周ルートは熊が出たので通行禁止らしい。「結構、街近いのに出るんだ熊」と思いつつ海岸線まで行ってから40分の内周ルートで一周することにする。遊歩道のスタート地点では、エゾニュウがゲートのようにそびえ立っている。やっぱり快晴の夏空にエゾニュウは似合うなぁと思いつつ写真におさめて出発。

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鮮やかな紫に黄色のアクセントが特徴のノハナショウブが多い。ハマナスの花はもう終わりかけで実が色づき始めているものも。写真は順番にハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマナスの実、クサフジ、ノハナショウブ、ヒオウギアヤメ、クガイソウ、エゾカンゾウ。

海岸線近くではハマヒルガオとハマエンドウの群落が見られた。サロマ湖のワッカ原生花園ではここまでの群落は見られなかったので正直驚いた。見映えしないがハマボウフウも結構多い。

内周ルートに入るとノハナショウブの独壇場になってくる。他にはクサフジやアザミ類も多い。クガイソウの花は始めて目にしたがビローンと伸びた感じが何ともユニーク。但し、このルート、通る人は殆んどいない。熊鈴を持ってなかったので、例によってラジオで代用。誰もいないのをいいことにラジオから流れる昭和の名曲を歌いつつ、気がつくと一周が終わっていた。管理棟にただいまの挨拶をして横のベンチで昼食をとる。

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その後は、とりあえず温泉を求めて浜頓別市街へ。バスターミナルに浜頓別のパンフレットでも置いてないかと立ち寄ったら、思わぬところで鉄道資料を発見。あこを停めた駐車場が公園みたいに広かったなと思ったら、この広大な敷地が浜頓別駅跡らしい。展示ははタブレット閉塞機と浜頓別駅の構内模型、記念きっぷやプレートなど。模型は結構立派なものだ。ついでに公園になってる旧駅構内を散策し、その先にサイクリングロード発見。廃線路盤のサイクリングロード転用は常套手段なので、何かないか探してみるが整備された舗装道路で特に収穫なし。

その後、街からすぐのクッチャロ湖近くの「はまとんべつ温泉ウイング」に行ってみる。アルカリ泉でヌルヌルする。露天風呂はないが、お湯を満喫して帰路に着く。時間は14時30分。音威子府の駅そばが16時までなので、それまでに着けばいいからと中頓別でも寄り道。天北線メモリアルパークなるものにも寄ってみるが、ただの公園とバスターミナル。しかし浜頓別みたく中に展示があるんじゃないかと入って見ると予想的中。展示は写真パネルや敏音知駅のタブレット閉塞機、駅で使われていた判子なども多数置いてある。判子は結構珍しいかもと思って見ていると、田舎の駅なのに盛岡や東京都区内、大阪市内など内地の判子も結構あった。今では当たり前のように飛行機だけど、鉄道が全盛だった時代もあったんだなとつくづく感じた。

その後、音威子府に向かいお楽しみの駅そばを食べる。今年は「小さな写真展@おといねっぷ」やってないのかと思っていたら、残念ながら一足早かったようで開催期間は7月25日~8月26日でした。もちろんこの駅にも立派な天北線資料室があります(http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/jr_isan.htm)。ここまで鉄道ゆかりの地を巡ったら、久しぶりに美深駅の美幸線資料室も行ってみようと思っていたら、2Fへの通路が施錠がされて入れなくなっていました。その時は資料室自体がなくなったと思って帰りましたが、後で調べたら駅員さんに言えば見学できたそうです。悔しいので美深で有名な養殖チョウザメ関係のお土産がないかと探し回りましたが、びふか温泉の食事メニューぐらいにしかないことがわかり、売店で売っていた「チョウザメかまくん(チョウザメの形をした笹かまぼこ)」を買って長い旅を締めくくった。


<今回立ち寄ったところ>
札幌→道の駅ピンネシリ(駅跡)→中頓別鍾乳洞→中頓別寿公園(9600形SL)→ベニヤ原生花園→浜頓別バスターミナル(鉄道展示)→はまとんべつ温泉→中頓別バスターミナル(天北線メモリアルパーク)→音威子府駅(駅そば)→美深駅(美幸線資料室)→道の駅びふかアイランド(チョウザメ)


今回のあこの燃費:15.3km/L (今回は往復で約700km。走行距離が伸びるほど調子が良いらしい。というか700km走ってもガソリンまだまだ余裕あるし、一体この娘、給油なしで何km走れるんだろう?)