1月5日に訪れた広島県呉市のてつのくじら館の続きです。てつのくじら館でも1時間近く費やしても気がつけばもう日が結構傾いているので、あとは夕暮れの風景を撮影しようと、観光情報プラザで教えてもらった「アレイからすこじま」と「音戸の瀬戸公園」へとあこと向かいました。
日暮れまで約1時間半と時間が押しているにも関わらず、途中に旧海軍工廠の大和建造ドックが見えるという「歴史の見える丘」に思わず寄り道です。入口にあるヘンテコなオブジェは呉海軍工廠礎石記念塔で、残存していた旧海軍工廠の礎石と、呉鎮守府開庁当時の庁舎建材のレンガと、明治時代のカモメのブロンズ像などが組み合わさって出来ています。第九工場の文字からも呉に多数の工廠があったことが伺えます。
肝心のドックは「歴史の見える丘」からも一応見えるのですが、道路を一本挟んでいるので少し見づらいので、歩道橋を使って道路の対岸へ移動。対岸にはバス停があるのですが、この付近からは大和の建造ドックが良く見えます。丁度、「大和のふるさと」と書かれた建物が大和の建造ドックです。大和の建造当時も機密保持のため屋根がつけられていたというのは有名な話ですが、当時も似たような感じだったんですね。しかし良く見えます。逆に言うとこんな環境で秘匿艦建造とか有り得ないんですが(^^;。
歴史の見える丘に戻ってもう一つのオブジェクトを見てみます。「噫戦艦大和之塔」と書かれていますが、第30回大和進水日(8月8日)を記念して建てられた記念塔で、大和の艦橋をかたどって出来ています。右側が大和の46cm主砲の鉄甲弾で、左側が長門の41cm主砲の鉄甲弾です。大和の砲弾は約1.5t、あこと同じぐらいの重さです。これを大量の炸薬を使って敵艦に向けて発射するわけですが、短距離弾頭でも初弾の命中率はほぼ0%で、初弾でうまく挟叉に持ち込めればラッキーという中、42kmというとんでもなく長射程になった分、より命中率が下がるわけで、よく考えたら恐ろしく効率の悪い兵器です。これこそ国家予算のバラまきそのものですな(^^;。
更に奥にあるオブジェクトは「澤原為綱翁之像」と書かれていますが、どこにもそれらしい像がなくて、何だろうと思って説明文を読んでみたら、戦中の金属供出で像がなくなってしまったようですね。銅像とかも対象になってたんですね。鎌倉や奈良の大仏様も戦況次第ではヤバかったのかもしれません。
さて、いよいよ「アレイからすこじま」に向かいますが、駐車場がわかりにくくて苦労しました。細い通りの上、一般の敷地みたいに金網で囲まれた区画なのでものすごくわかりにくいのです。駐車場入口には「呉海軍工廠 職工教習所 工員養成所 跡地記念碑」という記念碑があって、これを目印にすると良いかもです。一応、駐車場入口には「アレイからすこじま駐車場の利用について」という申し訳程度の小さな文字で看板が貼ってあるのですが、この看板、車からは全然読めません。それにしても呉の市内はガイドマップにも載っていない史跡がいっぱいあるみたいです。適当にブラブラ歩いてみても楽しいかも。
そんなわけでようやく「アレイからすこじま」に到着です。正面には海上自衛隊の潜水艦桟橋がありました。これ実際に使われているようで、散策をしていたら門を開けて入っていく自衛官と思しき人を確認しました。潜水艦桟橋の周囲に細長い遊歩道のようなスペースが整備されています。ガイドマップには公園と紹介されていますが、そもそもAlleyとは路地や散策路みたいなものを意味する言葉ですし、その名の通りの印象です(^^;。
潜水艦桟橋の向こうには本当に多数の潜水艦が...いやぁ、なんというか不思議な光景ですねぇ。ちょうど鳥の群れがやってきたので一緒にフレームに収めました。いやぁ、なんか物騒な兵器が近くにズラっと停泊しているのに落ち着きますねぇ。暖かい晴れた日に岸壁に腰かけてホゲーっとしたりしたらととても気持ちが良さそうです。
少しアングルを変えるとまた良い雰囲気です。呉の港は周囲を島で囲まれているので、どのアングルで撮影しても必ず背後に山が写ります。他の軍港と違って、軍艦の背景に山があることで殺風景に感じず、何か妙に平和的な風景に見えるんでしょうねぇ。
アレイからすこじまを後にして音戸の瀬戸公園の一番高い場所にある高烏台に来ました。夕日に間に合うか微妙でしたが十分に間に合いました。駐車場周囲を歩いていて、函館山の津軽要塞地区で見たのと同じ作りの地下に伸びる階段があって、もしやと思いましたが、やはり高烏砲台という砲台の跡地のようです。旧兵舎と説明された屋根の抜けた石造りの建物が印象的でした。
高烏台は呉市街に隣接する山の中腹に位置しますが、散策道を使って、場所を移動すれば270°ぐらいの眺望が楽しめます。写真は呉の工業地帯を見下ろせる高台です。左手奥に見えるのが江田島です。のんびりとした瀬戸内の風景にと木々越しに見える工業地帯が何ともアンバランスですが、この風景も呉の魅力なのではないかと思います。
落日の倉橋島です。とても綺麗な場所ですが、こんなのどかな場所でも戦闘が行われていたようです。丁度、写真の右手前の音戸漁港は航戦伊勢が防空砲台として最後を迎えたところです。艦艇写真のデジタル着彩さんでは奮戦する伊勢の写真が紹介されています。また、音戸漁港の向こう側、潜水艦のような形に見えなくもない三子島では空母天城と空母葛城が終戦を迎えました。kyuusyu-expさんのブログで島に停泊する葛城と大破転覆した天城の写真が紹介されています。葛城の飛行甲板が変な形をしているのは、多分、爆撃を受けてめくれ上がったからではないかと思います。
そしていよいよ日が沈みます。右手の山は地形的に、多分、大黒神島の櫛ノ宇根ではないでしょうか。平和っていいですねぇ。
日暮れを迎えてから高烏台の公園を散策してみます。樹齢1500年の屋久杉で作られたオブジェクトや五重ノ塔に二重ノ塔と平清盛の足跡と杖の跡と言われる窪みが残された日招き岩という大岩があったり何だか変てこものがいっぱいある公園です。ただ、平清盛が沈む夕日を招き返したという伝説があることは本当みたいです。瀬戸内の景色も最高ですし、ツツジや桜などもあるので、花の咲く時期に散策すると純粋に庭園としても楽しめるんじゃないかと思います。
呉市内はごちゃっとして駐車場のあるお店探しが大変そうなので、早々に、高速に乗ってサービスエリアで本場?のかきフライを食べた後帰宅です。で昨年と同様、呉の「亀齢純米酒」と北海道の「国士無双大吟醸」で呑み比べです。亀齢の一杯目は純米酒なのに雑味があってあまり美味しく感じませんでしたが、二杯目からはとても美味しく感じました。飲みやすい酒でチーズと一緒に美味しく頂きました。さすが日本酒で有名な西条の地酒、国士無双大吟醸、値段が倍近く高いのにかなり圧倒されていましたよ(^^;。
Nikon image space(http://img.gg/YKNFIAM)ではその他の写真も御覧になれます。
今回のカメラ:
「Nikon D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
「Nikon D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
「Fujifilm XF1」
今回のあこの燃費:13.4km/L(何か久々に計った気がする)