当麻岳を出発して、相変わらずのガスで良く見えないが、前方の岩に何やら白いものが...「あれっ、雪?」と思って進むにつれて、あたりが真っ白に。草やハイマツには海老のしっぽがビッシリと付いている。一組の御夫婦らしきパーティが安足間から降りてきたので状況を聞いてみると、ここよりも少し雪深くなるけど大丈夫とのこと。が、視界が悪くて進むべき方向が今一つ定まらず、ルートが雪で隠されてしまったのもあり、幾度となくルートを外れた。絶えず目印になるものをチェックしつつ進んでいたが、一回、随分とルートを外れてしまい、目印となるケルンを見失いかなり焦った。視界がないって本当に恐ろしい。
ともあれ、安足間の稜線に着く。風が強くなってきた体感風速10mほど。気温は0.9℃。寒い寒い。途中にあった見事な海老のしっぽを写真にが収めてた後、足早に安足間岳を通り過ぎて、とっとと次の比布岳を目指す。途中の愛別岳分岐では、この悪条件の中、果敢に愛別岳に挑んでいる3人パーティが目に入る。「頑張れ~」と声を掛けてみたが届いたのかどうか...管理人はそのままスルーして比布岳山頂に立つ。風はどんどん増して来ている。時折パラパラと何かが身体に当たる。よくわからないけど濡れているところを見ると、雪でも降っているだろう。比布岳の岩場の風で少し休憩してから、北鎮岳を目指す。
思えば当麻岳から一切視界がない。ただ悪条件の中歩いてるだけっていうのも何とも悲しくなってくるが、お天道様も見捨てたわけではなく鋸岳のトラバースに入ったあたりで、一気に視界が開けた。ピウケナイ沢に続く涸沢の紅葉に、雪で白くなった北鎮岳が瞬間的にうまくフレームに収まった。夏山のイメージしかないだけに、北鎮岳ってこんなにきれいなんだと感動する瞬間だった。鋸岳から北鎮岳まではグルっとU字を描いて登って行くが、ここの風がものすごく強い。もう風速は15m近いと思う。比布岳で計測した気温は1.5℃。超寒い。北鎮岳山頂に着くころにはもうヘロヘロになっていた。
もうこんな天候なので誰も山頂にいないかと思ったが、以外にも、北鎮岳では学生パーティに単独の男性になど結構賑わっている。山頂の風は比較的穏やかだったので、ここで昼食にしたが、暖かい味噌汁も数分でぬるくなるぐらいの寒さだった。愛別岳アタック組ともここで顔を合わせた。ピーク踏んできたらしい。いや、本当にすばらしい。皆、層雲峡方面ということで、私は一人で中岳を目指す。
北鎮分岐でキタキツネに会った。先週、大雪のキツネは毛並みが...とか書いたけど、かなりフカフカじゃないか。「あんたは確実に冬越せますっ」て感じの立派なキツネさん。写真を何枚か撮らせてもらって、とっとと裾合平まで降りようと歩みを進めるが、強風は増す一方。体感的に風速は15mを超えただろう。中岳周辺は、お鉢平の崖に沿ってルートがあり、悪いことに、丁度、お鉢側に向かって風が吹いているので身体が持って行かれる度に恐怖する。北鎮分岐から中岳分岐なんて高々15分ほどなのにものすごく長く感じた。中岳分岐を裾合平方面に折れると風がおさまってきた。中岳温泉まで降りてきた頃にはほぼ無風。しかし、北鎮から中岳でペースを上げすぎたせいか膝がやられてしまって痛い。幸い視界は良いので紅葉の写真を取りながら足を庇いつつゆっくり進むことにした。
そんなわけで裾合平でもゆっくり休憩していると、何か以前見た顔が分岐にやってきた。うーむ、誰だったけと思い巡らせsyokannさんだと気がついた。声を掛けたのもお互いほぼ同時。2010年に北海岳で会った以来だから2年ぶりかぁ。その場にいた男性に声をかけて記念写真を撮ってもらった。ブログでは交流あるものの、こうやって面と向かうと嬉しいもんだ。お互いのルートを交換するとsyokannさんは安足間手前でピストンして当麻岳付近で晴れるのを待っていたらしい。膝の調子が悪くならなければ、そのまま裾合平をスルーしてたかもしれないので、悪いことばかりでもない。30分近く話をした後、お互い腰が痛い、膝が痛いとダメージを負った身体を気づかいながらのんびりペースでロープウェー駅を目指した。その後は一緒に白樺荘に...ここは山好きが集まる宿で、例によって露天風呂で楽しい山談義に...気がついたら1時間近くが過ぎていた。
ロープウェー姿見駅(7:15)→裾合平(8:40)→当麻乗越(9:30)→当麻岳(10:30)→安足間岳(11:20)→愛別岳分岐(11:25)→比布岳(11:30)→北鎮岳(12:30←昼食→13:00)→北鎮分岐(13:10)→中岳(13:15)→中岳分岐(13:25)→裾合平(14:35←ティータイム→15:00)→ロープウェー姿見駅(16:05)
今回のあこの燃費:13.3km/L