朝5時起床。昨晩は2Fが満室で1Fに泊ったのもあって寒い。小屋に設置された温度計は外気温-1.0℃、内気温6.7℃を示している。寒い中、皆、元気に準備して続々と出発して行く。外から聞こえてくる声を聞くととても天気が良いらしい。食事の後は2Fが空いたので引っ越し。いつもの階段近くの角スペースが確保できた。昨日、一緒に飲んだ4人も忠別岳に行くということで、先に出発する旨一声掛けて外に出たら、もう時間は6時30分になっていた。
出発してすぐ穏やかに晴れて緑岳を見上げる。とは言っても予報の通り全く無風とはいかず、時折冷たい風が吹きつけてやや肌寒い。(D7000)
高根ヶ原方面は相変わらず雲が掛かっているが、この分だと到達する前には晴れそうだ。紅葉は最盛というわけではないけれど、太陽の光に照らされて夏とは違った色合いがとてもきれい。つい先日まで暑い暑い言ってたのに、もう夏山シーズンも終わりかと思うと少し寂しい気分になる。(D7000)
ふと日陰に目をやると、紅葉したチングルマの葉の輪郭が霜で縁取られている。きれいなんだけど、なんか寒々しい(^^;。第一花畑ではまだ咲いている個体もあったのに、もう山の上はすっかり冬に向かって季節が動いている。(D7000)
そしてついに高根ヶ原が晴れる。忠別岳や向こう側の化雲岳まで晴れてきた。(D7000)
高根ヶ原分岐手前の高台まで進むと、忠別岳、凡忠別岳、小化雲岳、化雲岳、五色岳に囲まれた大きな窪みが、爆裂火口のようにポッカリと口を開けているのがよく見える。これが本当に火口だったとしたら、太古の大雪山は4000m級の山だったとしても不思議ではない思う。(D7000)
高根ヶ原分岐を過ぎると、本などで御馴染みの断崖の光景が飛び込んでくる。これは外せませんなとカメラを構えた。今日は空気が澄んでいて遠くまで綺麗に見渡せる。晴れるとは思っていたけれど、ここまでスカっと晴れてくれると気持ちが良い。(D7000)
忠別岳方向に歩いて行くと登山道の右側に高根ヶ原の宮三角点がある。今は使われていないが、大雪山系が宮内省直轄だったころの測量点で、「宮三角點」と彫られた反対側には等級が彫られているハズなのだが確認できず。季節風が直撃する面なので侵食されてしまったのか...(D7000)
高根ヶ原の登山道は基本的に断崖に沿ってついているので、下界を見下ろせるようなポイントが何箇所かある。上から見る空沼の紅葉も見事。その空沼も今年は涸れずに水を湛えている。水いっぱいの空沼と紅葉の組み合わせというのはレアケースなのだろうか?(D7000)
そして、平ヶ岳付近からの沼巡りコースの全景。雲のちぎれかたといい、紅葉した木々のポツポツとした感じがまるで箱庭のようだ。実際の見た目も美しかったけど、写真の見た目も美しくて帰宅してから驚いた(^^)。(D7000)
平ヶ岳からは木々やハイマツに覆われたコースを抜けて忠別沼へ。忠別岳の上に雲が被っているが、これほど青空が拡がる忠別沼を見たのは随分と久し振りな気がする。ここで先発体に追い付いた。(D7000)
そして忠別岳の山頂。この山でこんなに多く人がいるのは初めてみた。ヒサゴ沼に行く人あれば、トムラウシに行きたいという若者も...山頂で一緒になった人達とトムラウシに行くならヒサゴじゃなくて南沼に泊ったほうが良いと、ルートの説明や我々の知っている情報を教えてあげたら声高らかに出発していった。何か若いっていいぁ...(D7000)
そして彼らが向かうトムラウシ山は雲の中。まぁ、明日はもっと穏やかな予報だし、十分快晴のトムラウシに登れるチャンスはあるだろう。(D7000)
忠別岳山頂から南側の突端まで踏み跡があったので辿ってみると、忠別岳避難小屋や五色岳までのルートが見渡せる高台に出た。勿論断崖の上。少し恐いが以前のように足が震えて来ることもなく景色に飲まれていた。(D7000)
ふと気がついたが、忠別岳山頂からも沼ノ原が見えている。ここをyahさんshizuさんと歩いたのは去年のことだったが、もうすごく遠い昔のように思える。その向こうに見えるニペソツ山にまさかその二人が登っていたとは知る由もなし...(D7000)
最後に、先程、爆裂火口かもと書いた窪みに拡がるヤバい紅葉風景を...「うおおっ、スッゲー」ってなった。(D7000)
そんなわけで40分ほど山頂を堪能した後、白雲小屋に戻る。途中で沼巡りコースを散策する人々で賑わう大学沼を写真におさめる。今朝見たときよりも紅葉がきれいになっている気がするのはきのせいか...(D7000)
時間的に小屋に戻ってから昼食にしても良かったが途中でお腹が鳴ってきたので、米沢ケルン近くの一枚岩にお店を拡げて、高根ヶ原を眺めながらの昼食にした。午後になって風が強まり止まっていると結構寒いのだが、もう来年までこの景色も見納めかと思うと何だか勿体なくて、ボケーっと景色を眺めながらゆっくりとした昼食をすませた。(D7000)
昼食後は一旦小屋に戻り荷物を整理した後、空身で白雲平にナキウサギさんを見に行ったが鳴き声さえ聞こえず...日が傾いて来た上、風は相変わらず吹いていて超寒い。もうナキウサギさんはあきらめて帰ろうと、帰る前に遠くの烏帽子岳を望遠で撮ってみたら何か斬新な構図で結構いい感じに仕上がってしまった(^^;。(D7000)
小屋に戻ってウィスキーの水割りを飲みつつ食事。今日はハヤシライスとハンバーグ、そしてヨシさんからはウィンナーをたくさん頂いた。何だかエネルギー使った以上に食ってる気がする(^^;。また空が焼けているというので見に行くと、今日は普通の夕焼け。それよりも目にとまったのは見慣れない大判カメラ。「そのカメラをカメラに収めたい」と言って撮らせてもらった。写真はカメラと写真家の小林利男さん。なんか仕組みもよくわからんけど面白そうと、色々と聞いている内に、気がつけばすっかり太陽が落ち、一番星が上空に...一旦、小屋に戻り三脚を取ってきて写真を撮るが、さすがにこの大判カメラの前では、D7000でも少し恥ずかしい気がする(^^;。そんなことを話ながらも、話が弾み、結局、日が完全に落ちて周りに誰もいなくなるまで一時間以上話こんでいた。(D7000)
小屋の中に写真集があるはずだというので、別れてから早速小屋の図書コーナーを引っ掻き回して遂に見つけた彼の作品。しかも白雲小屋からと思われる一枚が掲載されているじゃないか。なんだか写真というよりは絵画的な芸術作品のようで、とても素晴らしい。「いつか、こんな写真撮ってみたいなぁ」と思いつつも、「自分のスタイルじゃないよなぁ」などと贅沢なことを思いつつ就寝。(XF1)
そして今日も深夜に起き出して星の撮影。ちょうどオリオン座が登ってきたので写真に撮った。月が明るすぎて大量にゴーストが出てしまったが、太陽じゃなくて月のゴーストなのだから、それも味があってよかろうと。オリオンの上にはプレアデス星団(すばる)が偶然写り込んでいた。少し望遠してゴーストのないオリオンも撮っておく。小林さんが言っていたが、今年、ベテルギウスの超新星爆発が観測できるんじゃないかとの噂があるらしいが、写真には立派な赤色の星が写っている。よく考えてみると、もう現実には超新星爆発を起して存在しないハズのものを見ているというのも、すごく不思議な感じがする。アインシュタインの言ってたことは本当に正しいのかなと、技術屋らしからぬことを思ってしまう星空だった。(D7000)
その明るい月を何とか写真に撮ってやろうと換算128mmの最大望遠で撮ったものを、トリミングしてみた。結構ちゃんと写ってるじゃん(^^;。(D7000)
そしてその明るい月に照らされる高根ヶ原とトムラウシ山。写真は実際より1段分ぐらい明るいが、肉眼で見た高根ヶ原へと続く登山道や、今日登った忠別岳、そしてトムラウシ山の輪郭などのイメージは分かってもらえると思う。ちなみに1段分暗い写真も撮って来たが、明るさは忠実だけど、モニター上では目をこらして見ないと何が何やら...夜の見た目を忠実に再現するには一体どうしたらいいんだろうか。(D7000)
ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/olk9c9y)で山行写真全てが御覧になれます。
白雲岳避難小屋(6:30)→高根ヶ原分岐(7:25)→忠別沼(8:50)→忠別岳(9:20←休憩・山頂散策→10:00)→忠別沼(10:25)→高根ヶ原分岐(11:55)→米沢ケルン付近(12:00←昼食→12:25)→白雲岳避難小屋(13:15←荷物整理→13:40)→白雲岳分岐→(14:00)→白雲平(14:10←ナキウサギさん探索→14:30)→白雲岳分岐→(14:35)→白雲岳避難小屋(14:55)
今回のカメラ:「Nikon D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
「FUJIFILM XF1」
隊長 URL 2013年09月26日(木)20時59分 編集・削除
スズさん、こんばんは。
いやぁー。どれもこれもいい写真です。
やはり大きくて重いD7000を背負って登る甲斐がありますねー。
写真を拝見すると、一眼レフはやっぱ立体感が違うと思うなぁー。
自分も先日、ニセカウでE-3を使って撮影してみたのですが、帰宅後、自宅のディスプレイで画像を見た時、『...いいわぁー...』と思ってしまいました。
こりゃ、まだまだこれから先も重いカメラを背負う事になりそうです。
お互い、体力を維持しなくちゃですね!(笑)
(^_^;)