記事一覧

愛山渓倶楽部~愛別岳

前日予報だと全道的に天気は良好ということで、東大雪の石狩岳に行くつもりで朝2時に起床したものの、念のため天気予報を確認したら十勝方面の天気が今一つに...そこで予報の良かった旭川方面にの山ということで、去年、登頂できなかった愛別岳(http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/cgi-bin/diarypro/archives/81.html)に行くことにしました。

元々東大雪に行くつもりだったので余裕綽々です。朝6時30分には愛山渓倶楽部に到着して出発します。駐車場の車はそれほど多くないようですが、既に7組ほどの先発隊がいます。今回は、まだ通ったことがなくて永山岳へのアクセスが良さそうな沢沿いのルートにします。曇天の上、上空にはガスが掛かり、鬱蒼とした暗い林の中を歩きます。巨大に成長した水芭蕉の葉が不気味さを際立たせています。そんな中でも花が咲いていて、モミジカラマツがとても多く見られました。

三十三曲分岐を超えると沢沿いに高巻して進んでいきます。たまに、渡渉がありますが、岩伝いに特に苦になるような感じでもないです。沢沿いではエゾノリュウキンカ、チシマノキンバイソウなどが見られました。分岐を過ぎて沢沿いを進んでいくと昇天の滝が前方に見えてきます(写真)。いや、なんというか秘境を行く探検隊のような印象です。地図を見ていると昇天の滝のそばを通るのかと思いきや突然登山道は右に折れて再び林の中です。すると目の前にまた滝が現れました。一瞬、方向感覚がわからなくなりましたが、先程とは別な滝、村雨の滝だそうです。この滝の脇を登って行くロープ場を2つ超えて、しばらく行くと滝ノ上分岐です。ロープ場の岩は結構滑りやすいので素直にロープにつかまりました。

ファイル 148-1.jpg

滝ノ上分岐から比布・北鎮方面も、しばらくは高い熊笹や低木が多くて鬱蒼とした感じが続きますが、時折、開けて景色が拡がります。沼ノ平が見えました。向こうは晴れてきつつあるようです。このあたりではウコンウツギがきれいでした。標高1600mまで登って行くとナキウサギの「ピチッ」と言う声が聞こえます。偶然にもハイマツの間の小さな岩場でジーっとしているところを目撃しました。同じペースで登っていた女性と一緒に観察です。フレームにもきっちり収まってくれました。今日は比較的涼しいから外に出てきてくれたんでしょうか?

ファイル 148-2.jpg

標高が1700mを超えると見事な原生花園が拡がります。先週見たいといっていたチシマツガザクラの大群落がありました。登山道周囲がチシマツガザクラで白くなっています。コマクサやミヤマリンドウ、エゾヒメクワガタ、イワギキョウ、ヨツバシオガマなども咲いていました。驚いたのはこんなに高い稜線でエゾカンゾウが咲いていたことです。大雪山系でエゾカンゾウを見たのは、高根ヶ原以来です。ちなみに銀明水は涸れています。更に標高を上げると季節を遡るように、綿毛だったチングルマが咲いてきます。三本枝だけになっていたエゾノハクサンイチゲも見事に復活です。

ここまでの区間、花のあるところで止まっては撮影の繰り返しで、全然進みません。永山岳に着いた頃には既に10時20分になっていました。時折ガスが取れるものの、中々晴れてこないので半ばあきらめムードで昼食にします。こんな天気では誰も愛別まで登ってないだろうし、もうここで引き返そうかと思っていたら、偶然、愛別岳に行くという旭川の男性と出会いました。念願の同行者の出現にかなり前向きな気持ちになり、先に行くと言って出発した彼を追いかけて愛別岳分岐まで行ってみます。分岐で彼と合流...真っ白な雲の中に向かう断崖の道を見てお互い躊躇しますが、ここまで来たのだから行くだけ行ってみようということで合意...

ファイル 148-3.jpg
ファイル 148-4.jpg

不幸中の幸いか、プチ高所恐怖症の私にはありがたいことに、20mほどしかない視界のおかげで、あの谷底に落ちていくような風景が全然見えなくて恐怖感はほぼゼロ。同行者がいるのも心強く、風も穏やかで、前回引き返したポイントを知らない間に通過して、ピークへの登りに取り掛かります。先人のブログで右巻きで行くという情報を得ていたので、それらしい踏み跡をたどります。標高差は大したことないのに結構な急斜面が続き息が切れます。もう終わりかと思って斜面を登ると、また次の斜面が出てきて全然終わりません。もうダメと途中で休憩したところは、山頂から50mほど手前でした(^^;。休憩中に地図を見てそのことに気付き、「だったら進もう」と小休止に留めて出発、ここから先は大した斜面もなく愛別岳のピークに到着。そして記念写真を撮ってもらいました。もちろん背景は真っ白ですが(^^;。

ファイル 148-5.jpg

彼は昼食、私はティータイムということで、山頂の巨岩に腰を落ち着けて話しながら過ごします。ナキウサギがトコトコと通り過ぎました。単独だと何とも落ち着かないガスの中の山頂も、同行者がいると全然のどかに感じます。本当に彼に感謝したいと思います。

そのまま下りも共に降りました。途中、不明瞭な安足間岳のピークらしき最も標高の高い点を踏んで元来た道を戻ります。帰りは三十三曲から降りようかとも思いましたが、沼の平まで登る元気ががなかったのと、彼の靴が愛別の岩場で破けてしまったため、水たまりの少ない沢沿いのルートで行くことにして、また鬱蒼とした林の中を延々と歩いて下山しました。

愛山渓倶楽部(6:25)→登山口(6:30)→三十三曲分岐(6:55)→滝ノ上分岐(7:50)→銀明水(9:35)→永山岳(10:20←昼食→11:00)→安足間岳(11:15)→愛別岳分岐(11:20←考え中→11:25)→愛別岳(12:00←ティータイム→12:30)→愛別岳分岐(13:10)→安足間岳ピーク(13:20)→永山岳(13:40)→銀明水(14:00)→滝ノ上分岐(15:00)→三十三曲分岐(15:40)→登山口(15:55)→愛山渓倶楽部(16:00)

今回のあこの燃費:14.1km/L

コメント一覧

yah URL 2012年07月22日(日)21時59分 編集・削除

愛山渓かー!
そこはノーマークでした!
でもそこもドロドロの登山道でなかったでしたっけ?
人も少なそうだし、なんか熊が怖そうなところじゃないです??
ここも距離長くて「上級」のコースですね。
愛別岳もザレ場で滑りやすくて、結構キケンなコースじゃないですか?
いつかは行ってみたいです。

僕は旭岳から裾合平を回って、最後は天女ヶ原から降りてきました。
間宮分岐側から旭岳に登る部分が、急な上に滑りやすいザレ場で、ここもなかなかキケンでした。
誰かが滑って(滑落?)転んで骨折したらしく、ドクターヘリで運ばれて行きました。ガスでなかなかヘリが降りれず、何度も上空を回っていました。

syokann 2012年07月22日(日)22時23分 編集・削除

スズさん、愛別岳!届いたのですか!凄いですね。かなり遠いはずですが、取り合えずお疲れさまでした。

スズ(管理人) URL 2012年07月22日(日)22時57分 編集・削除

yahさん
愛山渓ルートは、まだそんなにドロドロではないですよ。
ただ、登りの多少ぬかるむ所でムーンウォークしちゃいました(^^;。
このルートは大雪山系とは思えない鬱蒼と茂った林の中を歩きます。
中でも、今回はまだ歩いたことがなかったので、
更に人がいないと思われる沢沿いのコースを行きました。
沢沿いはやっぱり気配が消えてしまうので落ち着かないですね。

愛別岳は昨年yahさんと黒岳石室で泊った翌日が初めてのトライでしたけど、
あの日は誰も人がいなくて途中から強風で怖くなってあきらめましたけど、
今回は、前回の経験で大体ルートの状態を知っていたことと、
更に同行者がいて、風もなく、何よりガスってあの恐怖の斜面が見えないという幸運。
体力的には辛かったですが、難なく山頂に立てました。
でも山頂付近は踏跡が交錯していて、ガスってルートはかなり怪しかったです。
先人のブログを読んでいて助かりました(^^:。

しかし、またまたニアミスだったとは...
旭岳周遊の逆ルートで、且つ、天女ヶ原を使って降りるとはyahさんも中々やりますね。
あの大変そうなザレ場の登りも征した上での天女ヶ原ですから、
もうどこでも行けるんじゃないですか?
過信は禁物ですが...
あのドクターヘリのシーンは何回見てもイヤな感じですよね。
できることならば見たくないし、自分も御世話にならないように慎重に行きたいです。

スズ(管理人) URL 2012年07月22日(日)23時04分 編集・削除

syokannさん、こんばんは。
無事に愛別岳のピーク踏んで来ました。
愛山渓からだと日帰りで十分行けるかなと思いましたけど、
頭で考えるのとはやはり違いますね。

御飯食べてお腹いっぱいになったけど、もうヘロヘロです。
ブログアップはまた後日ということで寝ます。
写真だけはヤマレコにアップしておきましたので
興味があれば「山行記録のページへ」からどうぞ

隊長 URL 2012年07月23日(月)06時53分 編集・削除

スズさん、おはようございます。
おっ。愛山渓から愛別岳ですかー。
意外と疲れるコースですね。
ガスっていて恐怖が軽減されるって、良く分かります。
見えない方が好都合の時って私も経験有り(笑)。
何れにしても、お疲れ様でした。
(^_^)

motti 2012年07月23日(月)07時40分 編集・削除

愛山渓からの愛別岳。
実は近々行こうと計画中でしたが・・・先を越されてしまいましたねー。
北鎮岳も踏んで、中岳温泉経由でぐるっと回って帰ってこようなんて思ってましたが無理かなぁ・・・。

綺麗な花を見に行きたいですが、行く頃には時期過ぎてますね・・・来年かな。

スズ(管理人) URL 2012年07月23日(月)13時03分 編集・削除

隊長さん、こんにちは。
愛別疲れましたぁ。
山頂の景色はともかく、あの恐怖を全く感じなくて済んだのは僥倖でした。

愛山渓倶楽部で温泉浸かった後の、
麦汁(アルコールフリー)もうまかったです。
暖炉脇のソファーでダラーっとテレビ見ながら...至福の時ですね。
もちろんその後、運転ですけどね。

スズ(管理人) URL 2012年07月23日(月)13時15分 編集・削除

mottiさん、こんにちは。
ありゃ、先超しちゃいましたか...そりゃ、失礼しました(^^;。

愛別岳登ってから比布・北鎮・裾合平、当麻乗越を計画するとは
mottiさんも豪快さんですね。
いやきっとmottiさんなら行けると思いますよ(^^)。

あとは時間ですよね。
よほど早く出ないと花とか温泉とかピークで休憩したりとかする時間が、
全然取れなくなってしまうし...

でも、そういうのは抜きで、「一日で何個ピーク踏めるか?」ってのに
特化してやってみるのも面白いですね。

yah URL 2012年07月23日(月)18時11分 編集・削除

話を聞いた(読んだ)だけでも表大雪とは(ここも一応表大雪か)まったく様相の違う登山道ですね。
愛別岳自体が様相の違う山ですが。

僕は間近で見たことはもちろんありませんが、ここも滑ったら「あれ~~~」って落ちて行ってしまうような斜面ですか?
見えないと恐怖感が抑えられるかもしれませんが、発見もしてもらえなさそうな・・・。
旭岳の裏斜面も僕に取ってはかなりの恐怖でした。滑ったら止められないな、と思いました。

でも同行者がいるっていうのはホント心強いですよね。
独りっていうのは怖いです。
実は昨日も天女ヶ原に1合半ほど降りたところで怖くなり、一旦また登り始めたんです。
1合くらい登ったところで、下りて来る2人組がいたので同行させてもらって下まで降りました・・・(苦笑)

tarumae-yama Eメール URL 2012年07月23日(月)23時04分 編集・削除

愛別岳、折角登ったのにガスがかかっていて残念でしたね。
私も同じコースを2007年9月18日に単独で登りました。
晴天で美しい紅葉に出会えました。
ブログにアップしていますので、良ければ頂上からの景色等をご覧下さい。

mottiさんのプランは凄いですね。
地形図を見てみましたが、やれるとは思うもののかなりの強行軍になりそう。

スズ(管理人) URL 2012年07月23日(月)23時32分 編集・削除

yahさん、こんばんは。

飲み会から帰ってきましたスズです。
愛山渓ルートは大雪山系ではトムラウシ温泉や天人峡ルートと似通った感じがします。
いや、それは正確ではなくて、本来、大雪山ってこういう山なんですよ。
人間が道路やロープウェー作って、標高の高いところまで一気にアクセスできるようになったので、
森林限界近くからスタートするのが我々の常識になりつつあるのでしょう。

去年のブログの写真を見てもらえば全容は明らかですが、
その場に立つと見た目以上に恐怖感があります。
今回は隣の斜面から絶えずパラパラと落石の音が聞こえていたので、
熊か何かがいたのかもしれません。

天女ヶ原も単独だと結構怖いですよね。
上からだと、姿見に人が多い分だけ、急にヒッソリして不安になりそうです。
1合半だと、丁度、雪渓が終わって低木のウネウネ道に入った辺りでしょうかね。
ガスってたのなら尚更ですよね。登り返したyahさんの気持ちも理解できます。
偶然出会ったお二人に感謝ですね(^^)。

スズ(管理人) URL 2012年07月23日(月)23時52分 編集・削除

tarumae-yamaさん
いえいえ、ブログアップした通り、
私にとってはガスがかかっていて丁度良かったのです。

ブログ見ましたよ~♪。
2010年のを先に見てあれっ?単独じゃない?みたいな(^^;。
写真のぴよしろうさんが帽子のせいか、かなり若いです(^^;。
2007年のも、もちろん見ました。
逆から見る比布-安足間の稜線が新鮮でした。

mottiさんのプランはやっぱ凄いですよね。
私も姿見から当麻乗越経由で当麻・比布・北鎮・裾合平はやりましたけど、
出発時間が遅かったのもあって結構な強行軍でした。

http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/cgi-bin/diarypro/archives/7.html
http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/cgi-bin/diarypro/archives/6.html

もう殆ど歩いただけっ感じ...
愛山渓から愛別岳経由すると結構な早出が必要ですね。

コメント投稿

投稿フォーム
名前
Eメール
URL
コメント
削除キー
公開設定
投稿キー
投稿キーには「1234」と入力してください。(スパム対策。)