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十勝岳は三度美味しい ~ニ.1720mピークから十勝岳山頂~

標高1720mからは景色が一変。砂漠のようななだらかで広大な空間が拡がり、正面にはこれまで見えなかった十勝岳山頂、左手には美瑛岳や鋸岳なども一望できる。ここで先発隊夫婦から山頂の雪の情報を聞くことに。山頂付近の雪は結構沈むらしく腰まで埋まったとか話を聞いた。雪が軟らかいので直登はやめたほうが良いとのことで、崖近くの岩場を足がかりにして行くことにする。

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お礼を言って進んで行くと左手にはスリバチ火口がポッカリ見えてくる。この時期は積雪に筋がついて本当にスリバチみたい。火山特有の硫黄の匂いが緩やかな風に乗ってやってくる。

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で、問題の山頂に続く溶岩ドームの急斜面に取りつく。岩場なので輪カンはやめてアイゼンだけ付けて登る。とにかく足が沈む。足が埋まるので安定感は抜群だが(^^;、先人の足跡を外すと雪が崩れてもう全然登れない。時折、振り返って写真を撮っていく。ここは標高を一気にあげるので、振り返る度に高度を増しているのが実感でき「えっ、もうこんなに登ったんだ」っいう印象。毎年ガチガチの氷斜面になる恐怖の肩斜面も今日はキックステップでちゃんと足が入っていく。

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で、肩に到着。ここまで来れば山頂は間近...といつも思うんだけど、ここからが一番精神的に長い。標高も高くて空気が薄い。息もあがりっぱしで10m進んで小休止が続く。

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山頂直下ではまた雪が深くなって来る。何クソと雪斜面に足を掛けたときにハプニング発生。体重を支えていた両足共に雪が崩れて体勢を立て直そうともがいた時に足が攣った。「うぉぉ、痛い痛い!またかよ」。3年前に丁度この場所で足攣って山頂を諦めた苦い思い出がよみがえってくる。すぐに筋を延ばして対処して危機を脱した。

十勝岳は三度美味しい ~一.望岳台から1720mピーク~

ゴールデンウィーク恒例の十勝岳登山。Wethernewsの週間予報ではGW前半が好天とのこと。高層予想天気図(http://www.hbc.co.jp/pro-weather/)ではGW前半は29、30日は強風予報ということで、チャンスは今日しかなく少々体調悪いのを押して登って行ってきました。朝7時前に札幌出発。うーむ眠い。久々の長距離走行であこは御機嫌ですが、あこのナビはセンターポケット取付では電波が弱いらしく起動時の衛星補足に10分以上掛かる始末(http://www.saboten.sakura.ne.jp/~suzu/cgi-bin/diarypro/archives/116.html)。こんどGPSアンテナ付けてやるかと思う。

上富良野に入るとドーンと十勝岳連峰が目に入る。やっぱものすごく高い。冬の間、札幌近郊の山々しか目にしていないと、この毎年のファーストインプレッションがたまらない。登れるだろうかとゾクゾクしてくる。望岳台着は9時20分。上富良野から日新・白金温泉経由にしては結構早く着いた(注:吹上温泉~望岳台間はゲートが閉まっていますよ)。

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望岳台周辺はライブカメラ(http://www.seisvol.kishou.go.jp/vo/32.php)の状況から予測していたよりも大幅に雪が少ない。もうはっきり言って夏山状態。手元の温度計は気温16℃、そして無風。大正火口と62-2火口からの噴煙もほぼ真っ直ぐに上がっている。

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そんなわけで歩き始めると暑くてしょうがない。スキー履いて登ってる人も何組か見掛けたが気の毒になるぐらい。登山道の状況も5月下旬並み。十勝岳の望岳台ルートは登る過程で視野が劇的に3回変わるので管理人のお気に入りコース。標高1720mピークまでは美瑛・富良野の鳥瞰と緩やかなに続く稜線が美しい。

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標高1720mが近づくと、それまでは高い位置から見えていた大正火口の噴煙と緩やかなピークも間近になって何とも言えない美しさ。

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上富良野通信 ~雪の中ナキウサギ求めて三峰山~

天気の良い日を狙ってまたまた三峰山に。しかし、段々と寒くなるにしたがって朝が起きれなくなり、7時に札幌を出るという体たらく。あこは災難続きで雀の突撃を食らってしまう。何か茶色いものが飛んで来たなぁと思ったらゴン!と(^^;。凌雲閣前駐車場に着くとすでに満車状態。冠雪もしたことだし静かな山を期待してたんだけど...

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登山道の状態は上ホロ分岐までは雪もポツポツ程度だが、300階段あたりから固い雪が多くなり滑りやすい。上ホロ分岐の岩場では早くもナキウサギを目撃したがフレームインならず。D尾根からは吹き溜りが夏道を埋めて所々ハイマツの上を迂回する。D尾根から山頂までも固い雪。私はこの区間、念のために持っていったアイゼンを使った。稜線に出ると雪は少ないが夏道部分は吹き溜りが多い。先人が迂回したと思われるハイマツや高山植物の上は既に雪が溶けていたので、帰りのことも考えて、雪で埋まった夏道を切り開くことに。ストックで雪の深さを確認しながら進むが、時にひざ上まではまることも。結構疲れる。三峰山への登り斜面は特に雪深くて夏道トレースは諦めた。上の写真は1803mのコルから富良野岳方面、下の写真は三峰山の斜面の上から上ホロ方面...写真で見るとうっすら積もっているようにしか見えないのは何故だろう。

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三峰山に着くといつもの凌雲閣を見下ろす岩場で食事をと思ったが風にさらされて寒い。南からの風を遮ってくれるので夏は快適なのだが、もう冬なんだなぁと実感する。で、風を遮れる場所ということで、すぐ横の岩に囲まれたスペースにお店を広げる。雪がテーブル代わりになって中々快適。

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食事の後はナキウサギを探そうと吹きさらしの岩場に下りるが、気温6℃、体感風速5~10m。ダウンにマフラーに持ってきたもの全部着てるが寒くてやってられない。10分ぐらいで完全に冷えきってしまったので三峰山は諦めて隣の1860mピークに移動すると慌ただしく岩場を動いている姿を発見した。冬眠しないらしいので、岩場から外に出れる内は食料集めに余念がない。時折、目が合うとすぐに岩場に隠れてしまう。正面から見ると丸々として愛敬たっぷりなのに横から見ると凛々しい表情。

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その後は来た道を戻る。幸いなことに私が踏んだ道を多くの人が通ってくれたようで、帰りはちゃんと道が出来ている。道のありがたみを感じつつ上富良野岳まで戻ってきた。このまま下りるのも勿体ないのでお茶にする。あれほど賑やかだったのに山頂付近はもう誰もいない。一泊すると言っていたパーティのいる上ホロ小屋までも1km近く離れている。上空には旭川から東京行きのAirDoが飛んで行く。明後日には出張で乗らないといけないのが憂鬱だが、こうやって見上げる分には飛行機も悪くない。何だかのんびりとした気持ちになる。

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その後は、上ホロ分岐でお茶したり、安政火口に寄り道したり、とにかく山を満喫しながら下山していった。


十勝岳温泉凌雲閣(9:10)→安政火口分岐(9:35)→上ホロ分岐(10:00)→上富良野岳(11:00)→三峰山(11:40←昼食・ナキウサギタイム→12:30)→1860mピーク(12:40←ナキウサギタイム→12:55)→三峰山(13:00)→上富良野岳(13:35←Teatime→13:45)→上ホロ分岐(14:30←Teatime→14;45)→安政火口分岐(15:00)→安政火口(15:10)→安政火口分岐(15:20)→十勝岳温泉凌雲閣(15:45)

今回のあこの燃費:12.5km/L (明日からしばらく修理でピット入りです)

上フ通信 ~雲の中ナキウサギ求めて三峰山~

今週末は大気の状態が不安定。朝起きて十勝岳ライブカメラを確認。視界良好。まぁ、行ってみるかと軽い気持ちで出発。三笠ICで旭川方面に向かう札幌山岳ガイドセンターの1BOX車を発見。先週、御世話になったガイドさんもいるかなぁと思いつつ、私とあこは三笠ICを下り富良野方面へ。登山口の凌雲閣前から見上げると、そこまで状態は悪くなさそう。というわけで、凌雲閣を10時に出発。入林届を見てみると登っている人も結構いるようだ。安政火口までのルートはエゾオヤマリンドウがちょうど見頃、三段山へのルートはまだ閉鎖されている。ガスが掛かっているが視界は良く、涼しくて気持ちが良い。安政火口の分岐を過ぎると山裾をグルッと巻いて上ホロ分岐へ。途中のウラジロナナカマドは赤い実を付けていた。

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上ホロ分岐からは上ホロカメットク山方面へ、そして名物の300階段。風に乗って熊の匂いがしてきたので、笛を吹きつつ一気に上がるとD尾根の少し手前で士別から来た3人パーティに追い付いた。稜線にも人が歩いているのが結構見える。ハイマツの緑も美しい。D尾根の終わりからグルッと右に巻いて登っていくともう上富良野岳山頂。雨がポツポツ降ってきているが、視界は良く十勝岳までクッキリと見えている。どうしようかと迷いつつ上富良野岳で昼食にする。山頂は8人パーティで賑やかだ。

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そうこうしているウチに青空も見えてきた。ここで、青森からきたおっちゃんと合流。同じ方向に行くというので、私も予定通り三峰山まで行くことにする。三峰山まではピークを2つ越えるが勾配は緩やかなので楽しい稜線歩き。晴れたり曇ったりしつつ三峰山に到着。しばらくナキウサギタイム、岩場でナキウサギの観察をする。おっちゃんと一緒にナキウサギ探しして2匹発見。少し遠いが最大望遠で撮影。可愛い。

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天気も良くなってきたので、そのまま一周ルートを進むことにする。隣の1860mピークでもまたナキウサギ観察。こちらはすぐ近くで2匹が見れたが、逃げられて撮影チャンスを逃した。少し残念だったが、間近で見れただけでも良いかということで尾根を進んでいく。富良野岳のコルの手前の巨岩帯では富良野岳がきれいに顔を出す。

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ここを抜けると富良野岳分岐はすぐ。そして延々続くトラバースの下山ルート。もくもくと歩いていると雨が到来。よくぞここまで天気も持ってくれた。雨具を来たとはいえビショ濡れで下山し、凌雲閣で汗を流した後は駐車場でお茶したり、内地から来たライダーや宮崎から来たおばちゃんと話をしたりして時間があっと言う間に時間が過ぎていった。下山してから2時間が過ぎようとした頃、山頂を見上げると三峰山から富良野岳にかけて、稜線の向こう側の雲海からあふれた霧が滝のように落ちていた。

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十勝岳温泉凌雲閣(10:00)→安政火口分岐(10:25)→上ホロ分岐(10:40)→上富良野岳(11:40←昼食→12:00)→三峰山(12:45←ナキウサギタイム→13:15)→富良野岳分岐(14:05)→上ホロ分岐(14:55)→十勝岳温泉凌雲閣(15:40)


今回のあこの燃費:12.7km/L

十勝岳連峰・大雪縦走期2日目 ~美瑛富士避難小屋から南沼キャンプ指定地~

朝、4時起床。天候不純。重い気持ちで朝食を取りつつ、オプタテシケ山までは行くことに決める。あきらめが悪いが、運良く晴れて縦走が続けられる可能性を信じて重い荷物を背負っていく。他の二人は美瑛岳と美瑛富士に、御年配はオプタテシケ山ということで各々出発する。私以外は小屋にデポして身軽な状態。小屋の外は相変わらずガスが掛かりドンヨリとした空気。朝露に濡れたハイマツを掻き分け、足取り重く進んでいく。すぐの岩場でナキウサギの観察などしながら、ゆっくりと登って行こうとするがナキウサギにも嫌われたよう殆ど姿を捉えられない。こんな視界の悪い中、重い荷物背負って何やってるんだろうと思った矢先、スーっと晴れ間が見え始める。奇跡到来。みるみるうちに美瑛富士と美瑛岳が顔をのぞかせる。「やったぁ」、ここまで遅かったペースが一気に早くなる。身体は縦走する気満々だ。こうなったらオプタテシケを8時30分には通過したい。同じペースで登っていた御年配を申し訳なく思いつつ一気に離して進んでいく。晴れたのは良いが今度は急速に気温が上昇。日差しはギンギン。ハイマツ漕ぎで濡れた服も一気に乾いてしまった。ベベツ岳を過ぎた岩場で着替えようとザックを降ろした時に、ジーっと物思いにふけっているようなナキウサギを発見。こういう瞬間があるから山はやめられない。ありがとうとお礼を言って当面の目標のオプタテシケ山を目指す。

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少し遅れたが8時15分にオプタテシケ到着。これから行く稜線を眺める。無数のピークを貫いて一本の道がトムラウシまで続いている。ここに立って眺めているだけで心が折れそうになる。昨晩、小屋で出会った人達に縦走することを話したら「オプタテから先は覚悟を決めないと行けないからね」と言っていたが本当にそうだ。自分の脚でこの距離が歩けるのか急に不安になるが信じて行くしかない。

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休憩の後、進み始めるといきなりの痩せ尾根、片側は崩落していて落ちたら間違いなく天国に行けそうだ。地図では標高差700mはあるものの、ジグを切りながらを降りていくため、それほどの困難は予測してなかったが、痩せ尾根を越えると巨岩帯が拡がっていて結構体力を消耗する。おまけに、途中で脚をすべらせて足首をひねってしまう。幸い、登山靴のサポートで普通に歩く分には問題ないがひねると痛い。猛暑で水も随分となくなってきた。昨日、水場で汲まなかったのが効いている。何とか700mの下りを降りきったあたりで、ほんのわずかに残った雪渓から水を取る。あと数日で涸れそうな状態なので本当にラッキーだった。煮沸している時間がないのでフィルターで濾して飲料水として確保。ここで、今朝、南沼を出発して来たという青年に出会う。お互いの走破時間を交換して、何とか16時ぐらいに南沼キャンプ指定地に着けそうな感触を得る。途中の三川台で泊まるのもいいだろうと。振り返ると降りてきたオプタテシケ山がドーンとそびえ立っている。オプタテシケ山がこんなに奇麗に見える場所はここしかないだろうなぁと感動してしばらく眺めていた。

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さてオプタテシケ山を降りた段階で、標高は1400mまで下がった。ここからは標高1500~1600m台の無数のピークを登ったり降りたりして進んでいく。最終的には標高1700mの三川台、そして1970mの南沼キャンプ指定地が目標だ。道はハイマツと熊笹のブッシュで時折、ダケカンバがクネクネと曲がって立っている。湿度は限りなく100%に近く、気温も29℃。不快指数はMAXに到達する。予測に反して水の減る速度が速い。もはや水を飲んでも汗が蒸発しないわけだから、意味はないはずだが喉の渇きが止まらない。照りつける日差しに体力も奪われていく。涼しい風でも吹いてくれれば、どうということはない標高差の緩い登りが続いていくが、休み休みのためペースは全然上がらない。これはまずい。約18kmの行程の内、まだ1/3ほどしか来ていないのにと気持ちがあせり始める。地図で残り距離を確認しながら目標到達時刻を計算しつつ進んでいく。このペースでは16時に三川台がギリギリかもしれない。

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コスマヌプリを越えると比較的勾配がゆるやかになり、少しペースが回復する。それでも30分動いて休憩を繰り替えさないと熱中症になりそうだ。幸いハイマツのブッシュが続いているため日陰を探すのは容易。もう半径6km圏内には誰一人いない。慎重にいかないと本当にヤバイ。トムラウシ山の南には巨大な積乱雲が発達し始めて時折落雷の音が聞こえる。ラジオは新得から鹿追・上士幌までの大雨洪水警報と落雷注意報を伝えている。あの雲がこっち来るとマズいなと思いながらも、照付ける太陽を恨めしく見上げながら少しは曇って欲しいと矛盾する考えを抱く。休憩を挟みつつもペースは良好で時速1.5~2km/hをキープしている。あれほど遠かった三川台の台地もすぐ近くに見えてきて、気がついたらツリガネ山を通り過ぎて最後の1580mピークに到達していた。この時点で三川台に15時、南沼16時も可能かもしれないと希望が出てくる。脚は疲労で重いが気分的には先が見えて晴れやかだ。1500mのコルに降りて最後の登りに取り掛かる。ハイマツのブッシュの中、ついに最後の水を飲み干してしまう。あとはポットのお湯が残っているだけ。渾身の力で三川台へと続く急坂を上がる。

三川台では、水が涸れているためか今日は誰もテントを張っていない。下には雪渓と沼地が拡がっていて、とても奇麗なのだが、すぐそこに水があるのに何で手に入らないんだろうという考えが先行する。三川台からは片側が切り立った崖なので、疲れた脚がもつれないよう気をつけて進んでいく。見覚えのあるトムラウシ山周辺の景色が見えてくると一緒に人の姿も確認した。キャンプ地から散策に降りてきたらしい。今日は朝から誰にも会っていないので、人が傍にいるって本当に安心する。一言二言会話をするが喉が乾いているせいか、声がかすれてうまく出せない。

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南沼キャンプ指定地には念願の水が大量にあった。雪渓も例年より随分と残っている。いっぱい使いたいのでテントは水場のすぐ横にした。早速、水を取りにいく。汁物中心に食事をしてようやく落ち着いた頃にはもう日が傾いている。体力もだいぶ回復して、テントの周囲で写真を撮ったり、お酒を飲んだりしつつ、広島から来たという隣のテントの人と話をする。中々に辛い一日だったけど、終わりよければすべて良しで、すべて帳消しになってしまった。一旦、眠ったあとは空を見上げる。一片の曇りもない星空。南の空には月、北の空には北斗七星とカシオペアが明日進むべき道を示していた。


美瑛富士避難小屋(5:50)→石垣山(6:45)→ベベツ岳(7:00)→オプタテシケ山(8:15)→双子池キャンプ指定地(9:55)→1668mピーク(11:00)→コスマヌプリ(11:25)→1558mピーク(12:20)→ツリガネ山付近1580m(13:35)→三川台(14:55)→南沼キャンプ指定地(16:30)