記事一覧

十勝岳連峰・大雪縦走期4日目 ~白雲岳避難小屋から黒岳・層雲峡温泉~

ファイル 78-1.jpg

朝4:30起床。写真を撮りに小屋の外にでる。筋肉痛で身体が痛い。天気はやや薄曇りだがそれでも今回歩いてきた山々が全部見える。忠別・五色・化雲・凡忠別と一周するループが大きな噴火口のようで、もしこれが爆裂火口の跡なんだとしたら、かつては4000m級の山があったかもしれないなどと想像してみる。小屋の周囲を散策していて、よくよく思えば避難小屋もペンキを塗りなおしたばかりでピカピカだったので写真に収めておく。

ファイル 78-2.jpg

この3日間、よく眠れてはいるが長い旅も今日で終わりと思うと、気が抜けてしまいダラダラと朝食を取って準備をする。管理人さんに挨拶して、避難小屋出発は7時過ぎ。小屋のクモイリンドウは一輪だけ咲いている。一緒に泊った女性が10時ぐらいには全部が開くと言っていた。小屋の周囲はトカチフウロやダイセツトリカブトが見頃、チングルマは綿毛になっている。ゆっくりと登っていると後から出発した夫婦に追い越されてしまう。でも体力的にはこれがMAXスピード、花などの写真を撮りながら行っているから尚更遅い。白雲分岐に着くと、銀泉台に降りる夫婦に手を降って別れる。

ファイル 78-3.jpg

あとはひたすらゆっくり進む。北海岳から黒岳の間は雪が遅くまで残っているため、結構花が楽しめる。見頃はチシマクモマグサで、コマクサやイワブクロなども見られる。チングルマの綿毛も奇麗で、思わず風景をバックに写真を取ってしまった。北海沢への下りで白雲小屋の管理人さんとバッタリ出会う。子連で来ると聞いていたが明日から天気が崩れるので一人で来たらしい。少し立ち話をして「紅葉時期にまた行きます」と約束をして別れる。

ファイル 78-4.jpg

当初はのんびりと山を楽しみながら降りて、黒岳石室でお疲れさんのビールを飲もうという計画だったが、長旅の疲れと容赦ない日差しのため、北海沢に降りた辺りから熱中症気味になってきて気持ちが悪い。石室に辿りついた後もビールどころではなくて、日陰で冷たいポカリで首もとを冷やしつつ何とか凌いでいる状態。日陰にいると幾分楽だが、太陽の下に出るとフラっとする。管理人の後藤さんに、例によって「泊ってくかい?」と声をかけられるが、層雲峡に宿も取ってるし、明日の天気も悪そうなので降りると言って、しばらく昼食をとりつつ、山の話をしたりしながら、日陰で休んでいると大分気持ち悪いのが治まってきた。太陽が雲に隠れた瞬間を狙って名残惜しいが石室を出発。黒岳のピークを越えて反対側にでるとガスがかかって太陽を遮ってくれる。これはありがたい。リフト乗り場に着いたらエゾシマリスが出迎えてくれた。

ファイル 78-5.jpg

宿泊先の銀泉閣では、風呂に入って、待望の美味しい食事とビール。和風懐石とバイキングの組み合わせで、驚いたことに飲み放題もついている。それで10,000円なのだから何とリーズナブルなこと。結局、4杯ちかくもビールを飲んでフラフラになりながら部屋に戻り、軟らかい布団で眠りについた。


白雲岳避難小屋(7:10)→白雲分岐(8:00)→北海岳(9:20)→黒岳石室(11:35←昼食→12:10)→黒岳(12:40)→黒岳七号目リフト(14:05)→黒岳五号目ロープウェー駅(14:45)→層雲峡温泉(15:15)

十勝岳連峰・大雪縦走期3日目 ~南沼キャンプ指定地から白雲岳避難小屋~

翌朝4時30分起床、青空が拡がっている。今日の予定は全くの白紙。幸い天気も良いということで、とりあえず化雲岳まで行くことにする。トイレブースのそばにテントを張っていたおっちゃんと暫く話をして、6時30分に出発。今回はトムラウシ山は登らずに北沼のエスケープルートを通っていく。このルートは花と沼と雪渓が合わさって、ものすごくきれい景色が堪能できる。殆どの人はトムラウシのピストンで満足して帰ってしまうが、北沼を経由して一周しても1時間も掛からないのでお薦めだ。北沼の南にある雪渓が構成する名もなき沼の水面には、北沼からロックガーデンに抜けるピークがきれいに映り込んでいた。

ファイル 77-1.jpg

北沼にもトムラウシ山が映り込んでいたが、登山ルート上からは全部が奇麗に水面に収まるポイントがない。北沼からピークを越えるとロックガーデンが眼下に拡がる。その名の通り一面の巨岩帯。噂には聞いていたが、これほど広大とは思わなかった。ナキウサギも時折顔を出して動き回っている。ここで昨日隣のテントにいた広島の彼が追い付いてきた。彼は南沼でもう一泊。今日は化雲岳まで行ってトムラウシ山の全体を写真におさめたいと言っていた。そんなわけで彼と化雲まで即席パーティを結成。ロックガーデンからはお互い幾度もルートを見失いながら進んでいく。晴れててもこんなにルートを間違うんだから、ガスったらとんでもないことになりそうだ。ようやくロックガーデンを抜けたら、天沼があまりにきれいだったので、ここでしばらく休憩にする。イワイチョウの白い花が奇麗に咲いている。時折、雪渓の氷が割れて水に落ち、水面に波紋を形成する。穏やかな大雪に心から癒される。

ファイル 77-2.jpg

更に進むと右手にヒサゴ沼が見えてきた。ヒサゴ沼は良いところだが、稜線から標高を200mぐらい下げるのと、人気の山小屋でいつも満杯のため敬遠していたが、来年にでも季節をずらして行ってみたくなる。化雲岳の山頂に着くとトムラウシ方面は雲が出てきたが白雲岳方面は良好。ここで電話して層雲峡の温泉宿が取れれば、白雲岳避難小屋にもう一泊して層雲峡に行くルートにしようと決め、電話をするとあっさり取れてしまう。時間が少し早いが、お腹が空いたので少しだけ食事をして、広島の彼と別れて出発する。化雲平のチングルマはほぼ終了でエゾカンゾウやリシリリンドウなどが見られる。昨日の誰とも会わないような状況が一変して、高根ヶ原のまでの区間では結構な人数とすれ違う。みんな夏休みということで思い思いのルートで山を楽しんでいるようだ。

ファイル 77-3.jpg

高根ヶ原の中間あたりからは脚が重くなってきて急速にペースが落ち始める。昨日の疲労が効いているらしい。まぁ、それでも「昨日の辛さを思えば楽勝だ」と言い聞かせて進んでいく。白雲岳避難小屋の近くの雪渓の水で頭と顔を洗う。しょっぱい水が目に入ってしみる。よほど汗がたまっていたらしい。石鹸なしとは言えサッパリして、残り200mの道程を歩く。最後は道を覆い隠すハイマツにすらてこずって進めないほど疲弊していたが何とか到着。小屋は私も含めて5パーティ。今日はとても空いている。白雲岳避難小屋は管理人さんが二人いて、今回は小さい方の管理人さんだ(名前がわからないので便宜上大小で呼んでいる)。前回お世話になった大きい方の管理人さんは明日上がってくるらしい。途中で会えたらいいなと思いつつ、2Fの階段傍に陣取ると、山の情報を交換したり、水や食事を用意したりであっと言う間に日が暮れていく。五色岳の稜線の奥には発達した積乱雲、忠別岳の上空にはガスがどんどん高く伸びていき、奇麗な夕暮れの景色を演出していた。

ファイル 77-4.jpg

夜は何故か21時過ぎに目覚める。準備をして外へ。今日も南の空は月が明るい。北側の小泉岳の稜線上は星でいっぱいだ。何枚も写真を撮り続ける。暗くてファインダーに何が映っているのかわからないので撮ってみてのお楽しみ。写真にすると肉眼では見えなかった情報も見えてくる。高根ヶ原の平ヶ岳よりの向こう側は雲に覆われているようだ。但し、低い雲。どうやら明日もいい天気になりそうだ。

ファイル 77-5.jpg


南沼キャンプ指定地(6:30)→北沼分岐(7:05)→天沼(8:30)→ヒサゴのコル(9:05)→化雲岳(9:55)→五色岳(11:00)→忠別岳避難小屋分岐(11:35)→忠別岳(12:35)→忠別沼(13:10)→三笠新道高根ヶ原分岐(14:50)→白雲岳避難小屋(16:10)

高根ヶ原通信(2日目) ~台風一過の晴れ間を満喫~

ファイル 74-1.jpg

暑くて寝苦しい夜だったが気がつけば周りが明るい。ガバッと飛び起きて朝焼けの高根ヶ原を写真に収める。天気が悪ければ下山しようと思っていたが、今日も晴天に恵まれそうだ。朝食にした後、テントや寝袋など重い荷物は小屋に預けていざ高根ヶ原に。コガネイチゴ、チシマノキンバイソウなどが鮮やかに咲いている。トカチフウロはまだ少し早いようだ。礫地に出るとコマクサが一段と目立つ。そんな中、ケルンから顔をのぞかせているエゾシマリスにも出会う。身体が小さいので、まだ子供かもしれない。

ファイル 74-2.jpg

チシマギキョウやリシリリンドウなど表大雪でも珍しい花が見え始めると高根ヶ原に来たと実感する。三笠新道分岐を越えると熊の匂いが風に乗ってやってくる。匂いの感触から遠く離れているのはわかるが、念のため笛を吹いて「こっち来んな!」信号を発信しておく。今まで8月にしか歩いたことがなかった高根ヶ原は、花のない印象が強かったが、今回はエゾカンゾウ、チシマキンレイカ、タカネシオガマ、イワブクロ、エゾツヅジなどが群落を形成しているのを目にしたのは新たな発見であった。「ガーガー」という声がするほうを見ればホシガラスも上空を飛び交っている。今日は動物との遭遇が多そうだ。

ファイル 74-3.jpg

平ヶ岳を過ぎて忠別沼への登りで、年代物のザックを降ろして休憩している埼玉からの縦走者と出会う。彼も銀泉台に降りるそうで、層雲峡まで車に乗せてもらえないかとお願いされ、もちろん快諾。私は白雲小屋まで身軽なので、そのうち追い付くだろうということで、その場は別れて忠別沼に向かう。彼の話では忠別沼の花はあまり良くなかったということなので、今日の目的地を忠別沼を見下せる1833mピークに決め歩き出した矢先、何やら大きい物体と目があった。エゾシカじゃないか。標高1800mだというのに上がってきたらしい。高山植物も食べてしまうというので結構問題になっているのは知っていたが、こんな高地で見たのは初めてだ。

ファイル 74-4.jpg

忠別沼が見渡せる1833mの高台はチシマキンレイカの黄色一色。花と沼と忠別岳の景色を楽しみつつ、お茶にする。化雲岳の辺りは若干雲がかかっているが、本当にいい天気。熊除け代わりのラジオを聞きながらのんびりする。そうこうしているうちに、昨日一緒に白雲岳に登ったじいちゃんが追い付いてきた。今日はヒサゴ沼で一泊するようだ。うらやましい。ガスったら忠別小屋にすると言っていたが、多少のガスならヒサゴまでは道に迷うようなところはないから安心して行ってきたらいいと言って別れる。

ファイル 74-5.jpg

その後は来た道を戻る。白雲小屋からここまでざっくり片道7kmはあるので、帰りは結構つらい。容赦ない日差し。吹かない風。たかる蠅。たまに花の写真を撮るのにしゃがんで立っては立ち眩みをおぼえる。結構このルートはキツかったかなと思いつつ、それでも「来て良かった」が打ち勝つ。白雲岳避難小屋まで戻ると層雲峡まで一緒に行く約束をした埼玉の彼がいて「ここで追い付かれるとは」と言って驚いていたが、私は昼食の予定だったので、また彼が先行する。食事の後、小屋に預けていた荷物を詰めたザックを背負ったら重いこと。水も食糧も予備の一食分しかないのに、なんでこんなに重いんだ。出がけに管理人さんに、札幌からなら、また週末にでも来てくださいよと言われて体の良い返事を返しておく。週末の一泊山行で来る人が常連さんには少なくないらしいが、体力のない自分がうらめしい。

昼食後も昨日歩いた道を折り返していく。白雲岳分岐はすごい人、昨日よりも人数多いなぁと思っていたら、赤岳のほうも大勢の人であふれかえっていた。若い女の子も多い。華やかなのはいいが、さっきまで高根ヶ原の静寂の中にいたのが信じられないような喧騒だ。賑やかすぎる山というのも正直あまり好きではないので、降りる脚に力が入る。気が付いたら14:30には銀泉台に到着していた。埼玉の彼とも無事に合流し、あこに荷物を積み込んで、層雲峡を目指してダート道をゆっくりと下りていった。

白雲岳避難小屋(5:45)→三笠新道分岐(6:50)→忠別沼見晴台1833mピーク(8:20←休憩→9:00)→三笠新道分岐(10:15)→白雲岳避難小屋(11:15←昼食→11:50)→白雲分岐(12:10)→赤岳(12:40)→銀泉台(14:30ぐらい)


今回のあこの燃費:14.4km/L (ダートの山道が長かった割には良好。もうこのぐらいは普通になってきた。私がオーナーになってから定速の長距離走行ばかりなのでエンジンがいい具合に仕上がってきているのかも。)

高根ヶ原通信(1日目) ~台風一過の晴れ間を満喫~

今週は待ちに待った土日晴れマーク。白雲岳避難小屋に1泊して高根ヶ原を満喫しようと出掛けてきました。一泊荷物を背負うのは今年初めてということで、大雪でも比較的楽な銀泉台からスタートです。

道央道に鹿が侵入して通行止めになり、一般道を迂回して予定よりも30分以上遅れて登山口に到着すると、ものすごい車の数。駐車場に入りきらなくてとんでもないことになっている。可哀想にあこは砂利道路駐で一泊決定。「今日は登山会でもあるんですか」とゲートの管理人さんに聞いてみるが、何故こんなに人が多いのかよくわからないとのこと。天気がいいからかなぁなどど話をしつつ記帳をすませて入山。

登山道に入るとシオガマギク、エゾウメバチソウ、ゴゼンタチバナ、カラマツソウ、ミヤマキンポウゲ、アオノツガザクラ、エゾヒメクワガタ、ヨツバシオガマ、チングルマ等々、花三昧。第ニ花畑は大半が雪渓の下だが、雪のない所ではエゾコザクラが鮮やかに咲いている。この花がこんなに活き活きと咲いているのを見たのは初めてかもしれない。

ファイル 73-1.jpg

第ニ花畑の雪渓を抜けて、コマクサ平に着くとコマクサをはじめイワブクロ、エゾツヅジなど礫地の花が多くなってくる。ここから第三雪渓の間でシマリスを発見。茂みの中にはエゾノハクサンイチゲがひっそりと咲いている。第三雪渓の途中からは標高1900mに入り、息があがる。第三雪渓を抜けるとチシマキンレイカの黄色い花が目立つようになってくる。気の早いチングルマはすでに綿毛になっている。第四雪渓は夏道が出ているので安心して登っていけた。これを越えれば赤岳山頂。山頂についた頃には久々の大荷物が効いたのか腰が痛い。時間は13時。お腹も空いたので昼食にしつつ山頂の岩に登ってみる。この岩に登らなくては赤岳の良さはわからない。

ファイル 73-2.jpg

昼食の後はとりあえず白雲岳分岐まで行って見る。体力もかなり消耗しているらしく、小泉岳に上がる緩い勾配ですら結構キツい。分岐では愛知からの縦走者と出会う。旭岳からスタートしてトムラウシで折り返して天人峡に降りるらしい。せっかくなので、荷物をデポって一緒に白雲岳に登る。当たり前だが身体が驚くほど軽い。途中で道警の山岳警備隊と出会う。一人は大きな幟をザックに立てて歩いている。重くないのか聞いたら「今日は風がないから平気ですよ」とのこと。身体の作り込みが違うなぁと関心しつつ、よくよく考えたら山岳警備に会ったのは初めてのことで、大雪にも警備隊いるんだと変なところに感心してしまった。

ファイル 73-3.jpg

白雲岳が間近になると雪壁がドーンと迫って来る。別にここを登るわけではないが、スケールに圧倒される。山頂からはトムラウシ山はもとよりオプタテシケ山や美瑛岳までがきれいに見える。本当に今日は大当たりだ。景色を十分堪能してから本日の寝床、白雲岳避難小屋へ向かう。途中の雪渓横には初夏の花キバナシャクナゲも咲いていて、雪渓が色々な季節を演出しているのを実感する。遠くに見える小屋の横にはテントの花が咲いている。ざっと15張りぐらい。以外と多いなと思いつつ、このぐらいなら小屋にも入れるだろうと安心する。明日の天気が微妙なので、できることならテントは張りたくないし、そもそもテントは孤立しがちなのであまり好きではない。

ファイル 73-4.jpg

白雲小屋の2Fに陣取ると、水場で汲んできた水を明日の飲み水用に煮沸する。「もう夕飯ですか」と声がかかり、「いや、水作ってます」と...これをきっかけに山話が弾む。17時前に夕飯をすませると、消灯の20時までは外のテーブルで酒を飲んで過ごす。標高が2000m近くあるため、無風の屋外でも少しひんやりして焼酎のお湯割りがとても美味しい。管理人さんを交えて話しをしつつ、たまに写真を撮ったりして、あっという間に消灯時間。寝袋に包まるも予想外に暑くて寝苦しい。ふと気が付いたら窓の外が明るい。もう朝?と思って時計を見てみると23時。なぜと思って窓の外を見てみると、満点の星空。こうなったら写真を撮りたくてしかたがない。カメラ片手に外へでる。もう絶景で、高根が原からトムラウシまでの稜線がくっきりと見える。「こんなに明るいとライトなしでも歩けますねぇ」と一緒に起き出してきた人と話をしつつ白雲小屋での一夜は過ぎて行った。

ファイル 73-5.jpg


銀泉台(10:00)→コマクサ平(11:50)→赤岳(13:00←昼食→13:35)→白雲岳(14:45)→白雲岳避難小屋(15:35)

黒岳山開き ~恐怖の雪渓と御鉢平一周コース~

高速道路無料化実験と1000円特別割引が先週で終わり、何か安い方法はないかと色々調べていると休日特別割引(50%引き)は有効だということに気付き(マスコミ報道がまぎらわくて休日割引が全部終わったと思ってた。)、だったら全然問題ないじゃんということで、黒岳が丁度山開きということもあり層雲峡から黒岳~御鉢平一周というのをやってみました。

忘れ物のないよう入念にチェックをした後、朝4時に札幌発。あこの巡航速度も大体分かって来て、100km/hというか2000rpm巡航ぐらいが御機嫌らしいので、高速道路をのんびりと走行し3時間ほどで層雲峡に到着。6時50分のロープウェーに乗り込んだが、グローブをあこに忘れてきたのに気付き出発前に降ろしてもらう。あれほど注意してたのにお粗末な話だ。五合目では山開きらしく、なっきーの着ぐるみが愛敬を振りまいている。とは言え人も少なくて、静かな山になりそうな予感がする。

リフトで七合目に到着して登り始めるといきなりの残雪。その後も殆ど登山道は雪に埋まっているが、雪割りで道が付けられていて安心して登って行く。所々に初めてみたソウウンナズナの白い花が咲いている。季節を変えると色々と違った花も楽しめそうだ。ショウジョウバカマやジンヨウキスミレなども咲いている。

ファイル 69-1.jpg

八合目を越えるとボチボチと雪が少なくなってきて、もういらんだろうと一応付けていたアイゼンを外す。しかし、九合目に本日一番の難所が待っていた。道は付いているが足場が狭いうえに急斜面の雪渓が100mぐらい続いている。まぁ、何とかなるだろうと進むが以外と滑る。気温が低いのでキックステップも使えない。足下を確認しながら一歩一歩確実に進みつつ、帰りは絶対アイゼン付けようと心に誓う。難所を抜けるとご褒美のようにエゾノハクサンイチゲが咲いている。黒岳山頂ではメアカンキンバイやイワウメも満開に近い。ここまで同じペースで上がってきた女性は体調が万全でないので桂月岳で折り返すらしい。山開きとは言え、御鉢平一周までする人はあまりいないようだ。

黒岳小屋で赤石川の情報を聞くと、今年はまだ雪渓に埋まっているし、他の雪渓もマーキングしてある上に、今日は登山会でいっぱい登ってるから安心して行ってこいということだったので、北鎮方面から左周りルートで行くことにする。登山道は所々雪が残っているがルートは明確。少しずつ標高を上げると視界が開け、赤石川に水の流れを確認する。小屋のおっちゃんの情報は大丈夫かと少し不安になるが、残雪期の御鉢平はどこから見てもダイナミックで景色を堪能しつつ進んでいく。ここまで来ると北鎮岳の雪渓を登っていく御一向様が見えてきた。結構な人が登ってるなぁ。

ファイル 69-2.jpg

遠くから見ていると大した傾斜に見えなかったが、実際に雪渓に辿りつくとドーンと雪の斜面がそびえ立っている。マーキングではそこを直登していくが、「いや、それはないでしょ」と、迷わず先ほどの御一向様が通っていたトラバースルートを通る。このあたりから標高2000mを越えてきて息があがって辛い。空気が薄いのを実感する。雪渓を抜ければ北鎮岳分岐。少し心ひかれたが今日は素通りで中岳を目指す。中岳周辺では別な御一向様とすれ違う。どうやら各々旭岳と黒岳からスタートして縦走する登山会のようだ。この時は、山開き初日から何とハードなことを思ったが、よくよく考えてみると御鉢平を一周する自分のほうがルート的にキツいことを後で気付く。

ファイル 69-3.jpg

中岳分岐で休憩していた旭岳に向かう御一向様を追い抜いた後、ものすごくお腹が空いてきたので間宮岳の分岐点で昼食にする。先程抜いた御一向様に囲まれて気まずい思いをしつつ食事をしていると4人ほど旭岳のほうからやってきた。二人は中岳温泉を通って一周、もう一人も北鎮岳方向、もう一人は後程同じルートを通ることになる。食事を終えると後は未踏の荒井岳・松田岳ルートに入る。ここからは砂礫の尾根が続くようだ。

ファイル 69-4.jpg

一つ目のピークを何気なく通過してコルに降りて気付いたが、このピークが荒井岳だったようだ。山頂碑もなくなだらかなピークに気がついたら過ぎていたという表大雪にありがちなトリックに引っ掛りつつ次の松田岳を目指す。このコルでは青年と出会う。赤石川の情報を聞こうと思ったが、彼は白雲岳から来たらしい。今日は色んなルートの人と会うなぁと思いつつ、黒岳に向かっているパーティーに北海岳で会ったという情報をもらって別れる。2つ目のピークに着くと、かつて案内標識だったろう木片が転がっており、地形的にもここが松田岳だということにする。そして3つ目のピークを登り切ると北海岳。こちらはちゃんと山頂碑やベンチも健在だ。しばらく休憩していると先程、間宮岳で食事中に会った男性が追い付いて来た。同じルートだということで気をつけて行きましょうと話をして、私が先に出発。頂上下の亀岩のところで御鉢平の写真を撮る。

ファイル 69-5.jpg

ここまで砂礫地が続き花もなかったが、ここでキバナシャクナゲを発見。と思ったらルートが消え雪渓に突入。急な斜面だが夏道の上は足場が広いので難なく通過。その後、ミヤマキンバイ、イワウメ、コメバツガザクラなど続々と咲いている花の写真を撮りつつ進んでいると、先程の男性が追い付いて来て即席パーティで黒岳小屋を目指す。北海沢は完全に雪で埋まっているが、何度か通ったルートでマーキングもしてあるので安心。いよいよ赤石川徒渉点まで来ると雪渓に大穴が空いているのを発見。「これは後一週間もすれば通れなくなるので運が良かったねぇ」などと話しつつ川の上を通過し、黒岳小屋に帰還した。何故かいつもここまで帰ってくると気がゆるんでしまう。ベンチに腰かけて小屋の管理人さんも交えて山話に夢中になり気がついたら45分も過ぎていた。

下りの雪渓もあるということでお開きにして小屋を出発。行きに見かけた雄のノゴマが同じ枝に留まって鳴いている。鳥にもお気に入りの場所があるようだ。下りの雪渓がまた大変で雪割りで作った道が溶けてなくなり、緩い斜面で滑落したり色々とあったものの、お互い無事にリフト乗り場に到着。五合目の売店で山開きの記念バッチを買い、なっきー着ぐるみにお別れを言って下山した。


層雲峡(7:00)→黒岳7合目(7:35)→黒岳(8:40)→黒岳石室(9:00←情報収集→9:05)→北鎮岳分岐(10:15)→中岳(10:30)→中岳分岐(10:40)→間宮岳分岐(11:00←昼食→11:30)→松田岳(11:55)→北海岳(12:10)→赤石川徒渉点(13:10)→黒岳石室(13:15←休憩→14:00)→黒岳(14:15)→黒岳7合目(15:30ぐらい)


本日のあこの燃費:14.4km/L(10.15モードしか公開されてませんけど、カタログ値を大幅に越えました)