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天塩岳は燃えているか?

本日は久々の天塩岳に...2007年10月6日に西天塩岳ヒュッテ泊で一度訪れたきりで、そのときの前天塩岳から見た稜線の紅葉が信じられないぐらいきれいで、もう一度紅葉の季節に登ってみたいと思っていた。そんなおり、ヤマレコを見ていると先週登ったkanokenさんの記録では、まだそんなに紅葉していないようだったので、今週末あたりがピークかもと思い、少々辛かったが朝4時起きで出発した。林道に入った段階でものすごく紅葉しはじめ、「いいじゃん!」を連発して、登山口に到着。ヒュッテの周囲も良い感じに色付いていてテンション上がる。熊の多い山域だけど、先発隊が2組いて少し安心する。

登山口の近くにある砂防ダム湖。水面に紅葉が写り込んでいて結構きれい。天気も最高で頑張って早起きして来た甲斐があったというもの。

このあとは沢を何回もわたって前天塩コースと新道コースに分岐する。登山道を普通に歩いている分には、葉が茶色掛かって大した紅葉ではないんが、左の急斜面の上などに目をやると黄色一色で素晴らしい。

そして分岐。新道コースの紅葉が見事なのは前回行ったときに熟知しているので、下りで思う存分楽しむとして、まずは左側の前天塩コースに進む。沢沿いに、少々アップダウンのある道を進み何度か沢を渡る。このコースの素晴らしいのは渡渉点にはすべて橋が掛かっていること。カメラ片手に何度も渡渉なんてイヤですからね(^^;。しばらく進むと沢コースとの分岐近くで熊糞発見、新しい。少し、テンションダウン。更に進むと風に乗ってほのかに臭いが...更にテンションダウン。

だけど、燃え上がるような光景を見るにつけて再びテンションアップ。

対岸は何だか木々が茶畑のようでに並んでいて、それが思い思いに黄色くなっているものだからとにかく素晴らしい。背景の青もやはりいい。

紅葉仕掛かりの楓も赤と緑のコントラストがとてもいい。相変わらず熊っぽい匂いも時折漂ってくるが、紅葉の素晴らしさに圧倒されている。あまり訪れる人は少ないけれど、やはりこの山は隠れた紅葉名所なんじゃないかと思う。


今日は紅葉しか撮らないだろうと「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」を付けている。このレンズで撮る風景の立体感がたまらなく好きだ。


そして標高1370mで紅葉帯終了。さすがに高いところはこのところの強風で全て葉が散ってしまったようだが、この白骨化したダケカンバも結構好きだったりする。写真は対岸の円山方面を見ている。

そして標高1380mからはハイマツ帯。少し登って標高1400mに立つといよいよ風景が一望できる。黄色く染まった山肌が素晴らしい。


ハイマツ帯はほんの少しで終わり、後は小ガレ場が延々と山頂まで続いている。登っても登っても全く山頂が見えてこない。このピークの向こう側の景色が見たくてここに登っているのに、ものすごいフラストレーション(^^;。

そしてご覧ください、前天塩岳の山頂から私の見たかった景色を存分に...。標高の高い位置のダケカンバの葉が散って少しスケールダウンしたけれども、黄色から白へのグラデーション、そして稜線のハイマツの緑が結構きれいじゃないかと思う。山頂は風速10mほど。立っていられないほどではないが、手元の温度計で10℃ほど。新雪もチラホラと見られて体感温度的には結構寒い。もう少し見ていたかったけれど、対岸の天塩岳に移動した。

前天塩岳からは一旦コルまで200mほど下るが、山頂からの景色の比ではないものの、コルから見る風景も結構良い。

そしてハイマツ帯を再び登って天塩岳へ...先発の単独パーティとの距離を詰めたものの、風の強い山頂を素通りして西天塩岳ヒュッテに向かったのか、私が山頂についたときには、もはや誰もいなかった。

このピークで特に景色を期待していたわけではないけれど、大雪山系や十勝岳連峰と思われる山々が遠望できて少しビックリしたがフレアが酷くて残念ながら写真には写らず。12-24は時折豪快にフレアやゴーストがでるので、何とかならんのかと思って調べていたら、設計者のコラムを発見。結構興味深い内容で見入ってしまった。ニコン初のデジタル専用レンズとして、これでも当時としては最新のコーティングがされているらしい。あとは、ここぞという一枚はレンズプロテクターを外して撮影するぐらいしか手がなさそうだ。

天塩岳山頂では仙台から週末登山で北海道に来たという男性としばらく話をして、お腹が空いたので西天塩岳ヒュッテに昼食を食べに移動する。山頂から続く新道ルートを刻んだ稜線の風景は、天塩岳でも有名なアングルだけれども、広角の利点を活かして撮ってみた。

そのヒュッテの名前がついている西天塩岳は山頂付近がガレ場になっていて面白そうな山容。道がついていたら登ってみたいなと思いつつ、ヒュッテへと向かう。


そしてヒュッテ着。前回はここで一泊したけれども相変わらず綺麗な小屋で快適。とりあえずお湯を沸かしてカップめんを調理。殺風景な小屋の中ではなんなので表に出て、正面の前天塩岳を見ながら食事を頂く。しばらくすると続々と人が集まってくる。山頂付近は風が強いため、みんな考えることは同じらしい。


昼食の後は円山へ。円山山頂へは踏み跡がある程度だけど登山道から10mほどしか離れていない。山頂標識はポールだけだったが、下側に落ちていた標識を合体させて写真に撮ってみた。どこからどう見ても、元からくっついていたみたい。ただ落ちて誰かが怪我とかしたら洒落にならないので撮影後はまた下に転がしておく。

円山からの下り。ここからまた紅葉景色が楽しめる。前方のポコポコした紅葉が撮りたくて、このショットを最後に16-85にレンズを変えたが、望遠いても構図的にイマイチだったので、12-24の写真を載せることに...この景色も私が天塩岳で好きな光景。

16-85で前天塩岳の辛い登りが良くわかる角度を最大望遠で...ダケカンバ帯を抜けると少しだけハイマツ帯を通り、後は延々山頂までガレ場なのがよくわかる。地図の印象ではハイマツ帯を抜けるとすぐの印象があるけれど、こうやって見てみると納得だ。

そして下山中にポコポコポイントを望遠で撮影。紅葉写真としてはイマイチだけど、これは何かいい感じに収まった。

ダケカンバが邪魔して中々良いアングルがないのだけれども、林間コースに入る直前で良さそうなポイントを見つけた。ダケカンバが散ってくれているおかげで、ポコポコ丘の全景が見えてとても素晴らしい。

そして樹林帯に入ると、ここから先は色鮮やかな紅葉パラダイス。もう、少し進んでは見入ったり、写真を撮ったりの繰り返しで全然進まない。

前天塩岳を望む真っ黄色の斜面。よく見ると葉自体所々茶色が混じっているのだが、遠景で見ると何ときれいなことか。

熊笹の緑と空の青が入って何だか虹のように層状に見える光景。ナナカマドが絶妙な位置で赤を足してくれていて見事。

そして前の写真では脇役だったナナカマちゃんが主役の一枚。本当にこういう風景がずっと続いている。

そして黄色く色付く新道の分岐点。ここを左に行くと林道の新道登山口へ。最初の計画では新道登山口経由で歩いて見ようかとも思っていたが、やはりヒュッテまでのルート上の紅葉が気になって右側に進んだ。

この鮮やかすぎる黄色とか何だろう...このルートはヤバい。全然進まない。似たようなペースで歩いていた、後続パーティに道を譲ってゆっくり行くことにする。

何気なく赤いナナカマドを撮ったのだけど、背景に緑や黄色が含まれて素晴らしい。もう、とにかくどこを切り取っても画になる感じ。


そして大木に生える味わい深い苔も勿論撮りますよ。雪渓が産み出すフカフカな新鮮な苔も良いけれども、年月を掛けてこうなったであろう歴史を感じる重みがある苔も良いものだ。

前天塩コースと合流してからは、またレンズを12-24mmに戻した。やはり近い被写体の立体的な表現は圧倒的に優れている気がする。


そして最後に「紅葉と言えば沢」「沢と言えば紅葉」と訳のわからない持論を展開しつつ、沢と紅葉が一緒に写った写真が撮りたいと色々探し歩いて撮ったのがこれ。あーそこ、「沢、ちょっとしか写ってねーじゃん」とか言わない(^^;。

そんなわけで紅葉を満喫した天塩岳。当初はヒュッテで一泊しようかとか思っていたけど、準備不足で食料等を調達できなかったし、山中の思わぬ陽気で大量に汗をかいて気持ち悪いので、協和温泉に寄ってから帰路につく。帰りの高速の車中、札幌方面は夕焼けで赤く燃えていた。XF1なら何とか撮れるかもと少々危険を感じつつも、撮りたい欲求が抑えられずに時速90kmで運転中に頑張って撮ってみた。ものすごくきれいに撮れている。本当に暗いところはXF1の独壇場。実はこの写真を撮った後、藻岩山や手稲山の札幌近郊の山々の稜線が赤く染まる風景が超美しかったのだけど、先程、構図を意識するあまりカメラと一緒にハンドルも傾けてしまって追い越し車線にふらっとはみ出してしまったのもあり自重。CMOSセンサーではなく記憶に焼きつけることにして安全運転で帰宅した。

ヤマレコで山行詳細が、Nikon image space(http://img.gg/KbVw0N1)で山行写真全てが御覧になれます


天塩岳ヒュッテ(7:40)→新道連絡路分岐H832(8:10)→前天塩岳(9:40)→天塩岳(10:35←休憩→11:00)→西天塩岳ヒュッテ(11:25←昼食→12:05)→円山(12:20)→新道連絡路分岐H832(13:50)→天塩岳ヒュッテ(14:15)

今回のカメラ:
 「Nikon D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
 「Nikon D7000」+「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」
 「FUJIFILM XF1」

今回のあこの燃費:13.6km/L