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毎年恒例の十勝岳春登山と山辺の家族

いよいよ週末に待望の晴れ間がやってきたので毎年恒例の山開き前の十勝岳山行に出掛けた。もう5月の下旬に入ろうかというのに望岳台も大半が雪が覆われている。思っていたよりも雪は少ない印象を受けるが、例年と比べると滅茶苦茶多い。もう面倒なので最初から6本爪アイゼンを着けて行く。山頂付近でカリカリになることも想定して10本爪も持っていく、あと輪カン。今日のカメラもななみちゃんを連れてきたし、双眼鏡もザックの中でさり気なく存在を主張していて、水を減らしたにも関わらず荷物がずっしり重い。

重い荷物の負担を軽くするべく、しばらくは先人のトレースを辿っていたが、十勝岳避難小屋から高台のを通る夏道の岩肌が出ていたので、夏道を使ってみようとトレースから外れた途端にズボズボ沈む雪に難儀して、急にキツくなった。まぁ、それでも初志貫徹で1720m標識までは夏道で行こうと進むものの、岩場が露出していたのは前半の少しだけで、残りは全部雪に埋まっていた。おまけに途中で腰近くまで踏み抜いて、足を引き抜く時に腿が少し攣った。こんな標高の低いところで攣るとは思っていなかったが、もうこの時期の十勝岳山行は不本意ながら「足のつり」が定番になりつつあるので、用意してあったツムラ68を飲んで続行。

薬を飲んだからといっても足の違和感はすぐには治らず、キックステップに力が入らなくて苦戦。直登ルートを進んできた彼らにあっさり先に行かれてしまった。今日の雪は本当に難しい。踏む場所を誤るとすぐに埋まる。トレースのないところでは、ストックで前方を突き刺して雪の状態確認しつつ慎重に進む。

そんなわけで1720m点に到着したが「ありゃ、標識がない」。完全に雪に埋まっているようだ。スリバチも例年より小さく見える。2008年以来毎年5月に登っているが、こんな光景は初めて見た。しかも予想外の強風。高層天気図から吹いても10m/s弱ぐらいだろうと予想してたのに...山頂まで辿りつけるかなと不安も大きくなってきた。

1720m標識から溶岩ドームまでは平坦な砂地が続いているハズだが見渡す限りの大雪原。雪の状態も全然変らず、トレースを外すとすぐに踏み抜く。もうここまでの登りで結構な体力を消耗したので、先人達のトレースをありがたく使わせて頂く。まわりの景色から推測するに、トレースは夏道で言うショートカット路の上についているようだ。風に乗って大正火口から硫化水素の腐った卵のような刺激臭が流れてきて呼吸がツラい。

溶岩ドームを前にして山頂までのルートをルートをどうしようかと考えていたが、今日の雪質を考えると長いものに巻かれたほうが得策と、多くの人が連なって歩いている直登ルートにした。結果的にはこれが正解だったようで、仮に十勝岳の肩経由で行ったとしても山頂付近に、巨大な雪庇のような壁に行く手を阻まれ、直登ルート側にまわり込むしかなかったと思う。直登ルートも簡単というわけではなく、山頂付近の急斜面では崩れやすい雪に先人達が苦しめられた痕跡があちこちにあり、私もルート取りに苦しんだ。


「光顔巍々」碑や山頂標識も埋まっている十勝岳山頂に到着。山頂は2パーティのみで静か。ここのところ眺望があまり良くない山行ばかりで、少々気が滅入っていたが、今回は眺望バッチリ。今年標高年を迎えたニペソツ山もクッキリ見える。

美瑛岳方面から先生を先導に旭川北高校の山岳部が登ってきた。火口の向こう側を周ってきたと言っていたが詳しいルートは不明。先程までと一変して急に賑やかな山頂になったが、「寒い・寒い」を連呼しはじめて、昼食をすませるとすぐに下山して行き、また静かな山頂に逆戻り。なんか台風のような一団だったなと思う。

境山と下ホロカメットク山。これらの山は十勝岳の山頂から見るのが一番きれいなんじゃないかと思う。後ろには日高山地まではっきりと確認できた。やはのこの時期の眺望は素晴らしい。


望岳台方面は写真を見ていると穏やかそうだが、10m/sを越える風速で向こう側から風が吹きつけてきていて、カメラを構えて構図取りするのも大変な状態。

山頂でのんびりしたかったのだが、今日は風が強くてそんな雰囲気にもなれず、雲が掛かってくたので40分ほどで下山。下山時は埋まるのが嫌なので輪カンをはいたが、それにも関わらずニ箇所で足が全部埋まるほど踏み抜いた。内、1箇所では片足が中々抜けず、根性で引き抜いたらまた足が攣った(^^;。本当に今日の雪は最悪の状態だ。


下山時に十勝岳避難小屋の窓から十勝岳の山頂を...と思ったが、雪が多すぎて昨年の隊長殿のような綺麗な絵にはならなかったのでありマース。

本日の温泉は「山辺の家族」。旧ほしの灯家の経営が変わって、アトピー性皮膚炎の方々を対象にした温泉宿「山辺の家族」になってから、日帰り入浴ができなくなって、残念に思っていたのだが、今年から「日帰り入浴」の看板が復活してとても嬉しい。山好きが集う温泉だったので、またかつての頃のように露天風呂で山談義ができるような温泉になってくれたらいいなと思う。入浴料も600円とリーズナブル。浴槽は旧ほしの灯家から変っておらずかつての雰囲気も楽しめる。

内部は洒落たカフェも併設された。以前は白金温泉で食事ができたのは「林道食堂」だけで、ラーメンなどの定番メニューは確かに美味しいが、他に選択肢がなかっただけに非常に嬉しい。キーマカレーやハンバーグなど健康思考のメニューが美味しそうだったが、山頂で一杯食べてきた後なので次の機会にしようと見送った。旦那さん、奥さん、娘さんの家族で経営されているようで、旦那さんは気さくな感じで玄関前で楽しく話をさせて頂いたし、奥さんは内助の功的な暖かそうな感じの人、娘さんは、とても明るく人懐っこくて可愛らしい感じ。写真はカフェの前で娘さん。山おやじだけでなく山ガールにも受け入れられそうな明るくて雰囲気の良い温泉に生まれ変わっていた。

ヤマレコとNikon image space(http://img.gg/umv95bi)で今回の山行写真全てが御覧になれます。


望岳台(8:30)→白銀荘分岐(9:00)→雲ノ平分岐(9:20)→1720m標識(10:40)→十勝岳(11:50←昼食→12:35)→グラウンド火口(13:10)→十勝岳避難小屋(13:40)→望岳台(14:25)

今回のカメラ:「D7000」+「AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED」
今回のあこの燃費:14.1km/L