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十勝岳連峰・大雪縦走期3日目 ~南沼キャンプ指定地から白雲岳避難小屋~

翌朝4時30分起床、青空が拡がっている。今日の予定は全くの白紙。幸い天気も良いということで、とりあえず化雲岳まで行くことにする。トイレブースのそばにテントを張っていたおっちゃんと暫く話をして、6時30分に出発。今回はトムラウシ山は登らずに北沼のエスケープルートを通っていく。このルートは花と沼と雪渓が合わさって、ものすごくきれい景色が堪能できる。殆どの人はトムラウシのピストンで満足して帰ってしまうが、北沼を経由して一周しても1時間も掛からないのでお薦めだ。北沼の南にある雪渓が構成する名もなき沼の水面には、北沼からロックガーデンに抜けるピークがきれいに映り込んでいた。

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北沼にもトムラウシ山が映り込んでいたが、登山ルート上からは全部が奇麗に水面に収まるポイントがない。北沼からピークを越えるとロックガーデンが眼下に拡がる。その名の通り一面の巨岩帯。噂には聞いていたが、これほど広大とは思わなかった。ナキウサギも時折顔を出して動き回っている。ここで昨日隣のテントにいた広島の彼が追い付いてきた。彼は南沼でもう一泊。今日は化雲岳まで行ってトムラウシ山の全体を写真におさめたいと言っていた。そんなわけで彼と化雲まで即席パーティを結成。ロックガーデンからはお互い幾度もルートを見失いながら進んでいく。晴れててもこんなにルートを間違うんだから、ガスったらとんでもないことになりそうだ。ようやくロックガーデンを抜けたら、天沼があまりにきれいだったので、ここでしばらく休憩にする。イワイチョウの白い花が奇麗に咲いている。時折、雪渓の氷が割れて水に落ち、水面に波紋を形成する。穏やかな大雪に心から癒される。

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更に進むと右手にヒサゴ沼が見えてきた。ヒサゴ沼は良いところだが、稜線から標高を200mぐらい下げるのと、人気の山小屋でいつも満杯のため敬遠していたが、来年にでも季節をずらして行ってみたくなる。化雲岳の山頂に着くとトムラウシ方面は雲が出てきたが白雲岳方面は良好。ここで電話して層雲峡の温泉宿が取れれば、白雲岳避難小屋にもう一泊して層雲峡に行くルートにしようと決め、電話をするとあっさり取れてしまう。時間が少し早いが、お腹が空いたので少しだけ食事をして、広島の彼と別れて出発する。化雲平のチングルマはほぼ終了でエゾカンゾウやリシリリンドウなどが見られる。昨日の誰とも会わないような状況が一変して、高根ヶ原のまでの区間では結構な人数とすれ違う。みんな夏休みということで思い思いのルートで山を楽しんでいるようだ。

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高根ヶ原の中間あたりからは脚が重くなってきて急速にペースが落ち始める。昨日の疲労が効いているらしい。まぁ、それでも「昨日の辛さを思えば楽勝だ」と言い聞かせて進んでいく。白雲岳避難小屋の近くの雪渓の水で頭と顔を洗う。しょっぱい水が目に入ってしみる。よほど汗がたまっていたらしい。石鹸なしとは言えサッパリして、残り200mの道程を歩く。最後は道を覆い隠すハイマツにすらてこずって進めないほど疲弊していたが何とか到着。小屋は私も含めて5パーティ。今日はとても空いている。白雲岳避難小屋は管理人さんが二人いて、今回は小さい方の管理人さんだ(名前がわからないので便宜上大小で呼んでいる)。前回お世話になった大きい方の管理人さんは明日上がってくるらしい。途中で会えたらいいなと思いつつ、2Fの階段傍に陣取ると、山の情報を交換したり、水や食事を用意したりであっと言う間に日が暮れていく。五色岳の稜線の奥には発達した積乱雲、忠別岳の上空にはガスがどんどん高く伸びていき、奇麗な夕暮れの景色を演出していた。

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夜は何故か21時過ぎに目覚める。準備をして外へ。今日も南の空は月が明るい。北側の小泉岳の稜線上は星でいっぱいだ。何枚も写真を撮り続ける。暗くてファインダーに何が映っているのかわからないので撮ってみてのお楽しみ。写真にすると肉眼では見えなかった情報も見えてくる。高根ヶ原の平ヶ岳よりの向こう側は雲に覆われているようだ。但し、低い雲。どうやら明日もいい天気になりそうだ。

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南沼キャンプ指定地(6:30)→北沼分岐(7:05)→天沼(8:30)→ヒサゴのコル(9:05)→化雲岳(9:55)→五色岳(11:00)→忠別岳避難小屋分岐(11:35)→忠別岳(12:35)→忠別沼(13:10)→三笠新道高根ヶ原分岐(14:50)→白雲岳避難小屋(16:10)