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高根ヶ原通信(2日目) ~台風一過の晴れ間を満喫~

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暑くて寝苦しい夜だったが気がつけば周りが明るい。ガバッと飛び起きて朝焼けの高根ヶ原を写真に収める。天気が悪ければ下山しようと思っていたが、今日も晴天に恵まれそうだ。朝食にした後、テントや寝袋など重い荷物は小屋に預けていざ高根ヶ原に。コガネイチゴ、チシマノキンバイソウなどが鮮やかに咲いている。トカチフウロはまだ少し早いようだ。礫地に出るとコマクサが一段と目立つ。そんな中、ケルンから顔をのぞかせているエゾシマリスにも出会う。身体が小さいので、まだ子供かもしれない。

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チシマギキョウやリシリリンドウなど表大雪でも珍しい花が見え始めると高根ヶ原に来たと実感する。三笠新道分岐を越えると熊の匂いが風に乗ってやってくる。匂いの感触から遠く離れているのはわかるが、念のため笛を吹いて「こっち来んな!」信号を発信しておく。今まで8月にしか歩いたことがなかった高根ヶ原は、花のない印象が強かったが、今回はエゾカンゾウ、チシマキンレイカ、タカネシオガマ、イワブクロ、エゾツヅジなどが群落を形成しているのを目にしたのは新たな発見であった。「ガーガー」という声がするほうを見ればホシガラスも上空を飛び交っている。今日は動物との遭遇が多そうだ。

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平ヶ岳を過ぎて忠別沼への登りで、年代物のザックを降ろして休憩している埼玉からの縦走者と出会う。彼も銀泉台に降りるそうで、層雲峡まで車に乗せてもらえないかとお願いされ、もちろん快諾。私は白雲小屋まで身軽なので、そのうち追い付くだろうということで、その場は別れて忠別沼に向かう。彼の話では忠別沼の花はあまり良くなかったということなので、今日の目的地を忠別沼を見下せる1833mピークに決め歩き出した矢先、何やら大きい物体と目があった。エゾシカじゃないか。標高1800mだというのに上がってきたらしい。高山植物も食べてしまうというので結構問題になっているのは知っていたが、こんな高地で見たのは初めてだ。

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忠別沼が見渡せる1833mの高台はチシマキンレイカの黄色一色。花と沼と忠別岳の景色を楽しみつつ、お茶にする。化雲岳の辺りは若干雲がかかっているが、本当にいい天気。熊除け代わりのラジオを聞きながらのんびりする。そうこうしているうちに、昨日一緒に白雲岳に登ったじいちゃんが追い付いてきた。今日はヒサゴ沼で一泊するようだ。うらやましい。ガスったら忠別小屋にすると言っていたが、多少のガスならヒサゴまでは道に迷うようなところはないから安心して行ってきたらいいと言って別れる。

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その後は来た道を戻る。白雲小屋からここまでざっくり片道7kmはあるので、帰りは結構つらい。容赦ない日差し。吹かない風。たかる蠅。たまに花の写真を撮るのにしゃがんで立っては立ち眩みをおぼえる。結構このルートはキツかったかなと思いつつ、それでも「来て良かった」が打ち勝つ。白雲岳避難小屋まで戻ると層雲峡まで一緒に行く約束をした埼玉の彼がいて「ここで追い付かれるとは」と言って驚いていたが、私は昼食の予定だったので、また彼が先行する。食事の後、小屋に預けていた荷物を詰めたザックを背負ったら重いこと。水も食糧も予備の一食分しかないのに、なんでこんなに重いんだ。出がけに管理人さんに、札幌からなら、また週末にでも来てくださいよと言われて体の良い返事を返しておく。週末の一泊山行で来る人が常連さんには少なくないらしいが、体力のない自分がうらめしい。

昼食後も昨日歩いた道を折り返していく。白雲岳分岐はすごい人、昨日よりも人数多いなぁと思っていたら、赤岳のほうも大勢の人であふれかえっていた。若い女の子も多い。華やかなのはいいが、さっきまで高根ヶ原の静寂の中にいたのが信じられないような喧騒だ。賑やかすぎる山というのも正直あまり好きではないので、降りる脚に力が入る。気が付いたら14:30には銀泉台に到着していた。埼玉の彼とも無事に合流し、あこに荷物を積み込んで、層雲峡を目指してダート道をゆっくりと下りていった。

白雲岳避難小屋(5:45)→三笠新道分岐(6:50)→忠別沼見晴台1833mピーク(8:20←休憩→9:00)→三笠新道分岐(10:15)→白雲岳避難小屋(11:15←昼食→11:50)→白雲分岐(12:10)→赤岳(12:40)→銀泉台(14:30ぐらい)


今回のあこの燃費:14.4km/L (ダートの山道が長かった割には良好。もうこのぐらいは普通になってきた。私がオーナーになってから定速の長距離走行ばかりなのでエンジンがいい具合に仕上がってきているのかも。)