記事一覧

比布岳 ~標高2000m超の稜線歩き その2~

無名ピークを過ぎるとすぐに痩せ尾根の岩峰に行き当たる。ここを行くのかイヤだなぁと思っていると右側にトラバース路を発見。ラッキーとばかりに早々にトラバース路に...後々調べてわかったのだが、トラバースせずに少し登ると当麻岳だったようだ。何てこったい。そもそも国土地理院の地図ですら当麻岳の表記が実際のピークからかなり外れたところにあるぐらいだから、この地図を見ながら歩いた管理人が間違うのも無理もない。

もちろん、この時はそんなことを知る由もなく、行けども行けどもピークらしいピークもなく当麻岳はどこなんだろうと思っている内に安足間の稜線が目前に...さすがにスルーしたかもと思いつつ、地図に表記されていた標高2076mのいい感じの岩場で永山岳の稜線をバックに記念撮影。巨岩と永山の稜線が合わさり良い感じに仕上がった。

ファイル 7-1.jpg


標高2076mでの記念撮影の後、20分ほどで安足間岳の稜線に出る。5分も歩けば永山分岐だが、この分岐が安足間岳の山頂と勘違いしてまたもやスルー。途中に意味のない案内標識が立っていたのでもしやと思ったが...それにしても表大雪の山は間宮岳を筆頭にピークらしくない山が多いなと実感した。

永山分岐からは比布岳を目指す。固まった砂地のような斜面についた踏み跡を辿る。足場が斜めで滑るので慎重に進む。それでも5分も経たない内に愛別岳分岐に到着。ザックが6つぐらい辺りに散らばっている。結構な人数がアタックしているようだ。どれどれと思って覗いて見ると、予想してたよりも切り立った痩せ尾根が延々と続き、高度も地図で見た以上に落とすような印象だ。ここまでの登りで脚がいうことを聞かなくなって来ていたので、この高度差に心が折れた。またスルーだ。

ファイル 7-2.jpg


愛別分岐を過ぎると5分ぐらいで比布岳に到着。山頂で年配の女性と出会う。天気はガスが出て今一つ。裾合平方面は雲の切れ間から晴れているが、念願のニセイカウシュッペや平山などの北大雪の山々は何も見えない。「きっと標高差があるからニセからは雲に包まれた比布が見えてるんだろうなぁ」と思いつつ、疲れてぼけ~っと旭岳を眺める。そうそう写真を撮るのを忘れてたと思って数枚撮ったが後から見るとどれも今ひとつな感じ。次の機会に愛別岳とセットでまた来ようと思う。

女性は層雲峡から来て未踏だった北鎮-比布間が繋がったと喜んでいた。「私は北鎮まで行かないと繋がらないんですよ」などと話しながら北鎮岳に向け出発。北鎮岳は北海道最高峰の旭岳に次いで標高が高い。比布岳のコルから標高差 200m足らずだが疲労困憊で脚も息も続かない。途中では岩峰鋸岳を巻いて行くが、この時一瞬ガスが晴れた。チャンスと思ってカメラをかまえる。わずかな紅葉の赤をアクセントに巨岩帯と空のコントラストが気持ちの良い写真になった。北鎮のガレ場からはナキウサギの声が聞こえる。

ファイル 7-3.jpg


鋸岳を過ぎると北鎮岳に向け標高差100mの登り。札幌の円山と勾配は変わらないが、息が上がり一歩一歩進んで行く。登りきると黒岳と御鉢が見えてくる。北側の稜線ではここから見る御鉢が一番だが、今年の縦走で北海岳から見た御鉢には遠く及ばない。とは言え今は景色より飯である。もうお腹空いてどうにかなりそうだ。北鎮岳の椅子にお店を広げ昼食。比布岳を一緒に出発した女性はまだ来ない。少し心配したが30分後ぐらいに再会する。愛別岳が心残りで何回も振り向きつつゆっくり来たらしい。

層雲峡へ下りる女性とは北鎮分岐で別れ管理人は中岳温泉へ。もう後はロープウェイ駅まで殆ど下り。スピードも乗ってきた。行きに苦労したピウケナイ沢源流の急斜面を下れば秘湯中岳温泉だ。硫黄の匂いが気持ちを高ぶらせる。が、しか~し、着いてみるとほとんど砂で埋まっているではないか。源泉はグツグツと吹き出し熱いので沢の水をいれて調整しているのだが、それにはある程度の容積が必要だ。とりあえず入ったものの、熱いやら冷たいやらで全然落ち着けない。最近は足湯程度で済ます人が多いせいか掘る人が少なくなっているのも一因だろう。何か今日はチョイチョイ残念である。

今度はスコップ担いでくるぞと決意を新たにしてロープウェイ駅を目指す。姿見園地に着くと、これまでの残念の連続を帳消しにするご褒美が...夫婦沼の水面に旭岳がスッポリとおさまっている。おお~っ、奇麗!。ほぼ無風状態でないと見れない光景で、大雪で風が止むなんてことは滅多にないだけに何というビッグラッキー。旅の終わりに思わぬプレゼントをもらいウキウキした気分で下山した。

ファイル 7-4.jpg

[ロープウェイ姿見駅(8:20)→裾合平(9:30)→ピウケナイ沢(9:50)→当麻乗越 (10:10)→当麻岳(10:50)→安足間岳(11:35)→比布岳(11:50)→北鎮岳(12:50[昼食]13:30)→中岳(13:55)→ 中岳温泉(14:20[入浴]14:45)→裾合平(15:10)→ロープウェイ姿見駅(16:20)]

P.S. 今回のあこの燃費 12.9km/L(よくできました!)

帰りの高速で覆面パトの追撃を逃れる。ここでもビッグラッキー発動!!あこと管理人の名コンビを捕まえようなんざ100年早い! みたいな?(^^;。いや実際は覆面のほうが素人っぽい動きをしてくれたんで助かったんですけど。研修上がりで初路上みたいな感じだったのかな。あまり上達してくれないことを祈るのみです。鷹栖-深川区間ご注意あれ!!

比布岳 ~標高2000m超の稜線歩き その1~

当麻・比布・北鎮と表大雪の北回りルートを一周しました。元々は1泊で十勝岳の計画だったのですが、富良野よりも上川のほうが天気予報が良かったのと、二週続けて登った北大雪から鮮やかに見えた比布岳の稜線を歩いたことが一度もなかったため予定を変更。ルートはこんなこともあろうかと以前に練っておいた当麻乗越から北鎮経由の一周。地図を見ると当麻岳の手前から中岳分岐まで標高2000mを越える稜線が6km強も続いている。楽しい稜線歩きになりそうだ。

朝 4時前に札幌を出発。順調に高速を進んでいたが、砂川あたりで重大な忘れ物に気付く。デジカメだ。時間は5時前、取りに戻っても8時のロープウェイに乗れそうだ。意を決してUターンし、朝6時に札幌から仕切り直し。時間に余裕を見て出発したおかげで助かった。東川でトンボの群れにぶつかったりと、あこには災難の連続だったが300km近い距離を走破して旭岳温泉に到着。時刻は8時。何とか15分のロープウェイに乗れそうだ。

姿見駅に着くと秋の気配、エゾオヤマリンドウも茶色くなっている。ここからは夫婦沼を越えて裾合平を目指す。所々色づき始めた風景を眺めながら1時間ほどで裾合平に到着。これ以北は管理人にとって未踏のルート。この辺りは湿地帯のようで、所々に小沼がありチングルマの綿毛が周囲を彩る。花の季節はさぞ奇麗だろう。右側には大塚小塚がきれいに並び、その向こうにはこれから歩く稜線が見えていた。

ファイル 6-1.jpg


裾合平からしばらく進むと、ほぼ正面に愛別、当麻の田園風景が見え始める。反対側の平地が見えて来たことに感動しつつ進むと沢の音が聞こえてくる。結構大きい。ピウケナイ沢だ。とは言いつつも美瑛のポンピ沢みたいなもんだろうと思って、U字を描く登山道に沿って下りていくと目の前にかなり立派な沢が登場する。

後で調べたらピウケナイとは「襲いかかる」という意味らしい。ううむ、これは...と思いつつ、徒渉ポイントを探るが、流れが速く水深も深いところで40cmぐらい。金網で石を固めた徒渉ブロックが流された跡がいくつかある。どうやら楽させてはもらえないようだ。少し下流側に石伝いに行けそうなポイントを発見したが、一番流れの速い箇所が1mぐらい空いている。ざっと見渡しても、ここより条件の良さそうなポイントはないのでジャンプすることに。着地成功と思った矢先に勢いがついてバランスが崩れる。こういう時にダブルストックは役に立つ。バランスを立て直しつつ向こう岸の浅い水面に着地。少し水を跳ねてしまって冷たいが無事徒渉成功。

ちなみに管理人は沢が大嫌い。この段階で少し時間が押してきたが絶対に引き返すもんかと一周ルートの完走を誓う。

ファイル 6-2.jpg


ピウケナイ沢を越えると斜面をトラバースしながら進む。高台に点在する小沼や旭岳の風景を楽しんでいると 20分ほどで前方の視界が一気に広がる。当麻乗越だ。地図上ではただの分岐に過ぎないが、標高1700mの高台から見下ろす沼の平の景色が素晴らしい。ピークでもないのに人気が高い理由がよくわかる。六の沼のコースからは多くの登山者が登ってくる。とは言え時間が押している中、彼らを待っている時間はない。写真を何枚か撮り当麻岳へと向かう。

当麻乗越からは標高2000mまで一気に高度を上げる。気圧計の数値は800hPaに近づく。つまり平地よりも0.2気圧低い。急斜面の登りで何度か息がきれる。最後のザレ場を登り切ると見晴らしの良いピークにでる。巨岩の向こうには沼の平が一望でき、ピウケナイ沢が大地をえぐって流れていく様など見事である。旭岳方面の展望も抜群だ。

ファイル 6-3.jpg