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十勝岳-美瑛岳 ~今年最後の縦走ルート~

今週こそ暑寒別岳と思いつつ昨日の留萌地方の雨(おそらく山頂は雪)のため計画を変更し、行き慣れた十勝岳連峰に行ってきました。今回のターゲットは美瑛岳です。積雪があれば直登、なければ十勝岳から縦走ルートでアプローチしようと考えて早めに札幌を5時30分に出発しました。三笠インターから桂沢湖を通って上富良野の一般道主体のルートは慣れた道ですが、思えばあこと旅するのは初めてです。あこが来てからもう3ヶ月も経つというのにワインディングはすれ違いまくり。CBとはあんなに息が合っていたのに、あことはまるで喧嘩しているよう。結局お互いに相容れないまま望岳台に到着。御機嫌取りであこを十勝岳が良く見える場所に停め準備をする。

山頂はウソのように雪がなく、62-2火口の噴煙も真直ぐに立ち上り無風と言っても過言でない絶好のコンディション。即ち、縦走ルートで決定ということで入山届にその旨記載し8時ちょうどに出発。気温は15℃ぐらいだが風がないので暑い。周囲は広大なザレ場が広がりポツポツと草木の紅葉が見える。大正泥流の真っ只中を登っていくので殺風景と言えばそうだが、これが十勝岳の魅力の一つだ。美瑛岳分岐までは整備された広いハイキングコースが続く。美瑛岳分岐を越えればすぐに十勝岳避難小屋だ。2008年秋に美瑛町により再建された。当時、同じ季節に登ったときに基礎の穴を掘っている状態で、雪が積もるまでに何とかと話してた作業員を覚えている。Wikipediaの該当項目を編集したのも管理人だ。出来た小屋はコンクリート張りの床だが小上がりもあって居心地のいい空間に仕上がっている。

十勝岳避難小屋からはガレ場の登りが続く。ガレからザレに変わり小刻みなジグを抜けると一つ目のピーク1700mだ。ここから先は風景が一変して砂漠のようになる。すぐ左にスリバチ火口、右に広大なグランド火口に噴煙を上げる62-2火口。登山道は火口に沿って延びている。ここの標識が昨年の強風で折れてダメージを受けていたのでケルンを積みなおして補修したが健在のようで安心する。しばらくは平坦な砂漠を越えるといよいよ十勝岳本峰の溶岩ドームだ。ここで軽装の四人組(多分トレーニング中の地元の学生)にあっさり抜かれる。管理人もそんなに遅いほうでもないが悔しいがスピードが違いすぎる。山頂に着くと彼らはすぐに下山。コンディションがいいとは言え多少の風もあり気温は一桁、寒かったんだろう。

山頂には新しく山頂標識が出来ていた。日本百名山なのに標識が朽ちて存在しないというストイックな感じが十勝岳らしかったが、新しい標識は安定感ある太い丸太の土台に大きく十勝岳2077mと存在感十分な毛筆書体で書かれ、下側に十勝岳連峰の主峰たるモチーフも描かれた百名山に相応しい壮大なものに仕上がっていた。あまりの見事さに良く晴れたトムラウシを背景に記念撮影。

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縦走ルートは、巨岩が積み上がった山頂を下りると砂漠の稜線歩きへと変化する。ここは管理人が山に登るようになって初めて歩いた稜線で、稜線歩きの魅力に取り憑かれたのもここだ。それまでRPGの中でしか見たことない世界がここではリアルな存在としてある。ここが標高2000mの稜線だと言われてもにわかに信じられないだろうが、振り返れば十勝岳の山頂が砂漠のピラミッドのように存在する。

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砂漠の鋸岳を巻くように標高を下げるとフワフワした砂地から大地が安定してくる。モコモコと生える草の紅葉地帯に入るともう美瑛岳の領域という感じがする。右手には新得からトムラウシ温泉に至る広大な森林地域が紅葉している。ものすごくきれいだ。オプタテシケ山、トムラウシ山へと至る稜線の手前にチングルマの紅葉が映え、下側に広がるダケカンバの黄葉という構図のつもりだが、何か写真では今ひとつ違う。リアルの感動を写真にするにはまだ未熟であることを痛感しつつ、いつか必ずこの感動をフレームインしてやろうと心に誓う。

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美瑛富士が眼下に見えると美瑛岳はすぐそこだ。だが、ここが美瑛富士とオプタテシケ山のベストアングルだけに脚は進まない。少し進むと美瑛岳の山頂に三人の人影。このアングルから晴天の美瑛岳というのは初めての経験で写真を撮る。

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美瑛山頂では十勝岳で出会った夫婦が管理人の到着を待ち侘びていたかのように声を掛けてくる。「(管理人が若く見えるので)いつ抜かれるかと思って待ってたんだよ」と、対して管理人は「ムリムリ、この稜線を楽しみに来たんだから」と。昨年心許なかった美瑛岳の山頂標識は案の定どこかに消えてなくなり、その旨を伝えた上で軽く「その辺りに転がってるんじゃないかな!」と言うと爆笑が帰ってくる。みんないい人達でのどかな山頂だ。

ボーっと景色を見つつ昼食をし、始めて山頂に来たというカメラ片手の若い人と話をしつつ時間が過ぎる。12時40分頃に先程の夫婦が下りると言ったのを皮切りに7、8人いた山頂は一気に静かに。ここは下りにも3時間はかかるので13時過ぎには人がいなくなるのが定番だ。管理人は経験的に13時30に下りれば16時には下山できるのがわかっていたので、その時間までのんびりする。なぜなら、天気は快晴でほとんど無風だからだ。この季節でこんな条件はビッグラッキー以外の何者でもない。

13時過ぎにはいよいよ山頂には管理人一人だけになるが、この段階で登ってくる御仁が。私はてっきり50台後半ぐらいの人かと思っていたが、後で入山届を見て知って驚くことに...74歳のじいちゃんだ。8時30分に望岳台を出て4時間半で美瑛岳まで来たらしい。「いや、それって結構速いですよ」などと話してたら、下山予定時間の13時30分に。「一緒に下りますか?」と声を掛けたが「とてもペースがあわないし、もう少しゆっくりしていきたい」ということで、先に下りることに。下山中に例によって周囲に誰もいないのに、すぐ近くに鈴の音と人の話声を聞く(明らかに人外のものだが不思議と怖くはない)。山ってやっぱり不思議なことが起こるなぁと思いつつポンピ沢を見下ろす1640m地点で休憩がてらお茶にする。じいちゃんはまだ降りてこない。まぁ、4時間半で山頂まで登れる人なら大丈夫だろうと思ってそのまま下山。ポンピ沢を抜けるとエゾオヤマリンドウがかろうじて生き残っており、エゾノツガザクラも一輪だけ発見。花も頑張るなぁと思いつつ、下山すると硫黄沢川源流の徒渉?点近くで撮った写真が本行程で撮った写真の中で一番紅葉のきれいな写真に...こんな低いところに奇麗な景色はあるのねと思いつつ......

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予定通り16時過ぎに望岳台に下山しあこと一緒にまどろんでいたが、じいちゃんが下山してこない。途中、ポンピ沢手前までは30分ぐらいの差しかなかったのを確認しつつ下山していたが、望岳台近くのハイキングコースに入ると大丈夫だろうと思って後ろは見ていなかった。美瑛岳山頂で出会って美瑛富士経由で下山した人もじいちゃんの存在を確認していて、帰りを一緒に待つが一向に降りてこない。結局、下山から1時間程、日没から30分が経過して暗くなり始めた頃にじいちゃんが降りてくるのを確認。最後に声を掛けて「お疲れさま、心配しました。」を伝えて、晴れてあこと共に十勝岳温泉に。私のお気に入り凌雲閣に向かう。凌雲閣についたら辺りは真っ暗。こんな時間にここに来るのは初めてで何だか泊り客の如くまったりしてしまう。ふいに入った職場からの電話に話をしてからゆっくりと温泉に浸かる。薄暗い中上ホロと富良野岳の稜線が奇麗に見える。

女将さんに帰りはスピード出し過ぎないように安全運転で帰りなよと言われていたにもかかわらず、帰り道は驚くほどあこと息が合う。意のままに動いてくれるあこはCBなんか目じゃないほどにスマートで美しく速い。道路も驚くほど空いていて何だか夜道のワインディングをそれこそワルツのように華麗に駆け抜けて、あっと言う間に三笠インターについた。行きではあれほど喧嘩したあこと心が通じたような気がしてとても嬉しい瞬間だった。


[望岳台(8:00)→十勝岳避難小屋(8:50)→1700mピーク(9:45)→十勝岳(10:25)→美瑛岳(12:40←昼食→13:30)→ポンピ沢(14:20)→望岳台(16:10)]

今回のあこの燃費 12.3km/L (喧嘩しても12km/L行くのね。あこの魅力再発見的な...)
夜道のワインディングで道を譲ってくれた皆様、感謝しています。

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未承認 2013年05月20日(月)15時34分 編集・削除

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